「マジあの神曲100万回聞いたわww」を真面目に考えてみた
二八 鯉市(にはち りいち)
「いやもうあの楽曲100万回聞いたからww」
昨今のオタクミームにおいて、すごい範囲の誇張をした表現を見かける。
「あの漫画の連載再開、一生待ってるわ」
「このゲーム一生やってる」
「あの動画100万回みたわ」
例に漏れず私もよく使う。
先日も、「あの曲の再生回数の内、100万回はワタシだから」と言ったばかりである。
……。
……。
…………。
嘘である。
それはもちろん嘘である。実際はワタシ一人で100万回も再生してないのである。それはもう、そうなのである。そこは「本当に100万回も再生したんか」なんて言うのは別の窓口にやってほしい。
だがふと、先程紅茶を淹れながら思った。
「実際に、一人のユーザーが100万回再生するって、どんなもんなんだろう」
と。
ひとまず仮に、「好きな曲を100万回再生する」を、「とんでもない勢いでページ更新をクリックで連打すること」ではなく、「1曲1曲、始めから終わりまで聞いてまた再生すること」ということと定義したい。
(あと、そもそもどういうカラクリで各種動画サイトの再生数が1カウントされるのかの詳細は分からないので、ここではひとまず、始めから終わりまで再生したら1カウントとしたい。あと普通に計算苦手だから間違ってるかもしれん。ごめん)
さて、仮に1曲を4分と過程しよう。
4分×100万回。
時間にして、400万分である。
……400万分って……?
分からない。日常で使わなさすぎるし直面したこともない時間の単位である。
時間に直して、 66,666時間。日付に直して、2777日。
年にすると7.6年らしい(色々適当に切り捨て)
つまるところ、朝昼晩のご飯を食べる時もお手洗いに行っている時も寝ている時もその他何をしている時も常に耳からその音楽を聞き続け(しかも何だったら終わるごとに1回ずつ再生ボタンを押して)、約7年半聞き続けると、大体100万回再生できるらしい。
……修行か?
と思う自分と同時に、とんでもなくノンストップで聞き続けると「意外と7年で達成できるんか……」と思う自分も居る。
これ逆に、丸一日じゃなくて半日聞き続けることにした場合は約15年で100万回いくってことになるのか。
……いや長いな、15年は長い。アイドルだったら卒業してる可能性がある。
さて、流石に7年間絶えず同じ曲を聞き続けるのはしんどすぎる。
仮に、1日3回で100万回再生を目指すとしてみたらどうだろう。
なるほど、333,333日かかるらしい。どれどれ、それって何年?
なるほど、913年。
913年。
もう、星新一の小説でしか見たことが無い数字だが星新一の小説にこんな具体的な数字は出てこないと思う。また概念でものを語ってしまった。
なるほどつまり、朝、昼、夜、と推しの曲を再生する生活をコツコツと913年続けると、見事、100万回再生を突破するらしい。
私の連想力があまりにも浅い検索で成り立っているせいだが、先程から脳内に茫然と、遥かなる宇宙の映像が広がっている。
「近未来」というワードですぐに宇宙とか言うのだいぶ浅いかもだが、「913年後の未来」というワードからまず宇宙を思い浮かべるのはもう仕方ないと思う。根拠もなく、銀色のスーツを着た人間がビームガン持ってる映像思い浮かべるじゃんね。
よもや「推しの楽曲を100万回再生」というテーマからこんな遠い未来について思い馳せることになるとは思わなかった。
いっそ逆に、「そう思うと源氏物語ってすげぇんだな」と思ったりもする。だって長寿の生き物が1日3回源氏物語読む生活を平安時代から続けてたら100万回再生されてるわけで……いや「全世界で令和7年までに源氏物語が読まれた累計回数」がもしカウントされてたとして、絶対に100万回どころではないと思うんだけれども。
あっ、あまりの突飛な数字との出会いに、思考が暴走していた。
さて、というわけで結論としてはこうである。
・推しの楽曲を24時間絶えず再生し続ければ、大体7年半で100万回。
・1日3回聞き続ければ、大体913年で100万回。
とはいえ別に、友達とのおふざけで推しへの愛を過大に表現するなんて、いくらでもやっていいと思う。
「お前ほんまに100万回再生する覚悟あって言うとんのか。913年やぞ」
みたいな詰め方は、別にこのエッセイの目指すところではない。
あくまで「もしも本当にやろうと思ったらどんなもん?」と、ちょっと気になっただけなのだから。
なんなら私は、別にこれからも言っていこうと思う。
「マジあの楽曲いいよね。300万回再生したわ」
……。
1日3回として、2739年である。
<終>
「マジあの神曲100万回聞いたわww」を真面目に考えてみた 二八 鯉市(にはち りいち) @mentanpin-ippatutsumo
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