今日もまた葛藤(選択)する

学生の休日。午前中。


ソファに寝そべっていると、スマホが机の上で振動した。


ソファの前にあるローテーブルから身体も起こさず手探りでスマホを見つけ出す。


そして、画面を開き、宛先を見て驚いた。


全く以て仲良くも無いクラスメイトからの遊びの誘いだったから。


『なぁ?今日遊ぼうぜ。来るだろ?』


・・・うわぁ。面倒臭ぇ。


いつもグループの輪の中心に居座るリーダー的な存在。


皆がそれを認めて従うからこの人調子に乗っちゃってるんだよな。


文面にも出てる。


『来るだろ?』なんて、俺がさも暇しているのが当然みたいな(まあ暇ではあるが)


押しつけられたレッテル、妄想。


更に、来ない事は無い、とかいう選択肢を最大限まで絞った言葉。


俺の断る選択肢が崖から落ちそうだ。


どうせ、クラスメイトの大半は誘われている。そして、来る。


気持ち的には、行きたくない。


大人数は苦手なんだ。誰がどこで喋っているのかも分からないし、結局二人か三人で喋っているのに大勢で居る理由は無い。ただ邪魔になるだけでは?


休日に誰かに行動を制限されるのも勘弁だよなぁ・・・。


というか、なんで俺誘われたんだ?


仲良くないからそこが気になるんだよな。


・・・俺、金集られる説ある?


大人数の中、金を払わされる人になるかもしれない。


・・・これは断る一択かぁ?


しかし、懸念点は断った場合、学校での目線が痛い事か?いや、それだけなら別段良いが、悪化して暴力とかもあり得るかもな。


・・・行かなかった場合、一生面倒くさい可能性。


行った場合、その時だけ面倒くさい・・・


いや、どうせ一日では終わらないな。どちらにせよ、一生面倒くさい可能性。


何で俺を誘ったんだ、マジで。


さてどうしよう。


スマホの前で数分固まっていただろう。


おっと、催促の連絡。


こういうとこから見えるんだよなぁ、人柄。


変な目で見られ様がどうでも良い。一回誘いを断って執着して来るのは、メンヘラだろうな。


うーん。


行かない。


よし、行かない。


意思は固まった。


で。


その後、どう断るか、だが・・・。


まずは誠意の為の敬語だろ?


大事だよな。


後は、相手の気持ちを汲み取る?


『誘ってくれて嬉しi・・・』


嬉しくはねえな。却下。嘘は良くない。


差し支えないよう、私情とか、予定ありとか?


いや、また誘われた時、面倒いし、嘘だしな。


断る・・・。


この際思いっきりストレートに行くか?


いやしかし、『行きたくねぇ。面倒くさい』は災いの元か?


ふんわりと・・・もあれだなぁ・・・。


後腐れ無くしたいんだが・・・。


ちょっと待て。


なんで俺は相手の機嫌を疑って連絡しようとしてんだ。


自分が悪者になりたくないから?いじめられたくないから?


いや、面倒くさいから。


でも、自分を偽って考えてるこの時間の方がもっと面倒くさいな。


思っている時点で、これが俺の気持ちだろ。


自分が断って相手が不快になることは知ったことでは無いのかもしれない。


自分に選択権が無い事が可笑しな話である。


いや、選択した責任がつきまとうが。


ああ、だから、言い方を考えようとしたのか。

後々の言葉の責任、選んだ責任を考えて。


まあ、言い方はあるって所か。


ええい、こんな考えて結局は断るのだ。


自分の気持ちを全部ぶちまけてやろう。言ってしまえ。思ったこと全て!


それが、相手への偽りの無い誠意。


これからどうなるかではなく、今どうしたいか、だ!



『こんにちは。まず初めに、お誘いは断らせて頂きます。理由としましては、大勢での出歩きは苦手なので楽しめないという判断が一つ。休日のこの時間は自分のやりたい事に充てたいのが一つ。もう一つは、私達は遊ぶほど仲が良くない関係。面倒臭い事は避けたいのです。これは私の行き過ぎた懸念かもしれませんが、誘いに乗りお金を巻き上げる事をされるのは勘弁です。今日、遊びに行かなかった事により、暴力や、暴言といういじめの対象になるのも勘弁です(その場合出るとこ、出ますが)。ただ貴方が私のことを「こいつ俺の誘いを断りやがってクソ野郎!」と思うのは自由です。それは貴方の思いだから。それに対して私は、「面倒くさいから行きたくないのよ。そういう人間だから遊びたくないのよ」と、コメント(思い)を残しておきます。これもまた、私の自由な感想です。貴方は貴方の態度、自分は自分の態度、線引きが必要かなと。言ってしまえば、相容れないでしょう。お互いに干渉しないことが一番平和です。つまりまとめると、「お断りします。これから先、何度誘われてもお断りします。あんま関わらない様にしたい」です。よろしくお願い致します』


よし、これでおーけー!


その後、返事は来なかった。


ノリでやってしまったが、自分の文章を読み返して・・・


自分って他人にとっても自分にとっても面倒くさい人間かもしれないと、感じた。


週明け、他クラスの仲の良い友達と朝挨拶。そして、仲良く談笑しながら学校へ向かった。

校門を通ると自分のクラスメイトに合うが、いつも無視するクラスメイトが少し引き気味にこちらを見ていた。


「お前、なんかやった?」


そう聞く友人に。


「やった」


俺はそう答えて、自分のクラスに入る。


わーお、男子の大半がこちらを見ている。


しかしその目に憤りや攻める気は感じられない。


先程校門で出会ったクラスメイト同様、引き気味。


「こいつやべぇ奴・・・」「学校来れるんだ・・・」


完全に変な人を見る目だった。


「おはよう」


「・・・」


挨拶には無視。


ある意味目を付けられ、ある意味目を反らされる。


変人・・・。


思ったこと伝えただけなんだけどな。


ある意味個性が伝わったと言うことか。


よし、ナイス。


変人最高!!

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