第17話 祖父のカメラ
物置の奥で見つけた古びたカメラ。
黒い革張りのボディには、長年の使用を物語る無数の傷が刻まれていた。
「じいちゃんのカメラだ……」
祖父は写真が好きだった。
家族の写真をたくさん撮って、アルバムに丁寧に並べていた。
けれど、祖父が亡くなってから、そのカメラはずっと誰にも使われることなく眠っていた。
ふと、シャッターを押してみる。
カチリ——
その音に、遠い記憶がよみがえった。
「ほら、笑え。写真はな、未来の宝物になるんだ」
カメラを構えながら、そう言って笑う祖父の姿。
レンズの向こうには、幼い俺や家族の笑顔があった。
あの時は、ただ撮られるのが照れくさくて、逃げ回っていたっけ。
祖父が残したアルバムを開く。
そこには、忘れかけていた日常が刻まれていた。
運動会で頑張った姿、家族で囲んだ食卓、冬の雪合戦——
どれも、祖父が見守っていてくれた証だった。
「……じいちゃん、ありがとう」
俺はそっとカメラを手に取り、シャッターを切った。
未来の誰かに、この瞬間が届くように。
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