第15話 妹へのプレゼント

冬の朝、窓の外には粉雪が舞っていた。


 病室のベッドで眠る妹の顔は、いつものように少し青白い。


 幼い頃からずっと病弱で、外で遊ぶことも少なかった。


 「お兄ちゃん、今年も雪、触れなかったね……」


 窓の外を眺めながら、妹が呟く。


 俺は、黙ってポケットの中の手袋を握りしめた。


 妹がまだ元気だった頃、二人で雪合戦をしたことがあった。


 あの時の笑顔が忘れられない。


 もう一度、あの笑顔が見たい——


 そう思った俺は、ある決意をする。


 病院の庭に降り積もる雪をかき集め、手袋の中にそっと詰めた。


 冷たさが指先に伝わる。


 病室に戻ると、妹は驚いた顔をしていた。


 「お兄ちゃん、それ……?」


 俺は黙って、小さな雪玉をそっと妹の手のひらに乗せた。


 妹の目が大きく見開かれる。


 「……本物?」


 俺は頷く。


 「今年の雪、ちゃんと触れるだろ?」


 妹の手のひらの上で、雪が少しずつ溶けていく。


 妹はそっと目を閉じた。


 「冷たくて……でも、あったかい……」


 頬を伝う涙が、雪と一緒に溶けていく。


 「ありがとう、お兄ちゃん」


 その声は、小さく震えていたけれど、どこか嬉しそうだった。


 窓の外では、静かに雪が降り続けていた。


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