トリックスターの本懐(4)
流れっぱなしにしてあるフェアリーステップの被害情報のひとつ、市外の映像にパジャッソの目が止まった。
「ハルカ!? まさか!」
パジャッソは自分が構築中のリストラクテッド・ペルソナを確認した。
彼のハルカはまだ手元に居る。
ではあれは何だ? 見間違えでないか?
市外映像と同じ方向を見ると、確かにパジャッソの目にも巨大なハルカの姿が映る。
あまりしないことだが、片目だけ角膜ディスプレをシャットアウトする。
崩壊しつつあるEnScapeのバグかもしれない。
その確認の為に手始めにリアルと見比べるのだ。
しかし視界のハルカは消えない。ライフのままでも見えている。
「パジャッソ!? なにか知ってるの?」
EnScape側のパジャッソの耳に、ムルシエラゴの声が聞こえる。
通常の通信手順ではないが、なにかあるのだろう。
「そっちからも見えてるのか?」
「見えてるかって? でかい糞ガキがピラピラしたスカート
「ハルカはゲームのキャラだ」
「はぁ? アホかよ! ゲームなんかどうでもいいんだよ! 何が起きてる?」
「わからん……。ゲームのキャラが肉視できるわけないんだが」
「あんなデカい人間だって居るわけないんだよ! 兵器ならスカートなんて穿いてないだろ! バカか!」
ムルシエラゴがしきりに毒づくが、仕方ないと思える。わけがわからない。
「攻撃中止だ。調べてやり直す」
「嫌だね! このあたしが、バカにされたままで終われるわけないんだよ!」
「死ぬぞ」
「うっさいね。お前が死ね!」
「おい!」
「……」
捨て台詞を残してムルシエラゴの声が消えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます