第1章 第2話

——それからというもの私の毎日は忙しないものとなった。


フォーサイス家は魔法に関しては全ての伯爵家の中でもトップで有名で、不妊がちのお母様からやっと産まれた私は周りからとても期待されていた。

(だから前世では魔力測定の時お父様は私に相当失望したんだろうな。)


「⋯⋯魔力なし。だったもんね」

「なんか言った?」


声の方に目を向けると神様が私のおやつをつまみ食いしていた。


「ちょっと!!私のお気に入りのお菓子食べないでよ!てかそもそも神様って食事するもんなの!?」

「えっちょっとくらい良いじゃないか!」

「というか君ねー神様って呼んでるけど僕にはカイルっていうちゃんとした名前があるの!」

「へぇ、カイルっていうの。⋯⋯ちょっと待った話そらそうとしないの!」


「まぁまぁそんな話は置いておいて、今日から魔法の勉強を始めるよ!」


私はごくり。と息を飲んだ。

前世では自分に魔力がないことから魔法には最低限関わらないようにしていた。


「まずは基本についてなんだけど、魔法は5種類、正確には7種類存在する。」

「炎、水、草、土、氷、これが基本。あとの2種類は光と闇。」

「その2種類は使い手が数100年近く現れていないことからほとんどない存在として扱われているんだ。」

「光魔法は癒しの力を使える。光の魔法が使えるだけで聖女だとか言われてたなぁ。逆に闇魔法は対象の支配や洗脳。あんまりいいことは無いね。」


「一通り説明したけど、普通の人は8歳で魔法に目覚めてその時に属性がわかるんだ。でも君には僕の魔力を分けてるからまずは僕の魔力を君に定着させないとだね!」

「え、でもそれどうやってやるの?」

「簡単だよ。実際にやってみようじゃないか!」


カイルはにやっと笑って私の手を掴んだ。


「今僕は君に魔力を流してるんだけど、それが何となく感じられる?」

「うーん、若干?」

「若干でも感じられるなら合格だ。」

「じゃあ次にその流れを自分の掌の上に集中させてみて」


そう言ってカイルはぱっと私から手を離した。


「え!?急に離されても⋯」

「大丈夫、君ならできるさ。ほら、深呼吸して」


すーはーと息を整えながら私は掌の上に意識を集中させた。

するとだんだん掌の上に力が集まっているような気がした。


「お!すごーい!!すぐにこれができるなんて君センスあるよ!」


掌の上に目を向けると、そこには私の頭の大きさくらいの白い光の玉が光っていた。


「ちなみに、その玉の大きさは自分の魔力量を示してて、優秀な魔法使いでも大人の拳くらいの魔力量しか持たないから君相当やばいよ!」

「あ、あとさっき属性の話したけど、君は7種類全属性の魔法が使えるからね。」


愉快そうに笑いながら言う彼を横目に見ながら私は冷や汗が止まらなかった。


「⋯⋯⋯⋯え?」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯そんなの聞いてないんですけど!?」

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人生2回目の私。どうやら世界の崩壊を止めないといけないらしいです! @narumiya01

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