第9章

ヒーロー基地。

長官:ヒーロー諸君、大事なお知らせがある。今回の配置だが、Zランク隊の真司君、そしてCランク隊の未無君の2人のみとなった。

ヒーローたちはガヤガヤと話し始めた。

長官:静粛に!これは上の指示だ、決まったことだ。逆らうことができない。故に2名を除いたヒーロー諸君はサポートに徹してほしい。以上、解散!

ヒーローたち:…ありがとうございました!

未無:真司先輩と2人きり、まさか…!

真司:お前も気づいたか、未無。

真司が未無の背後から声をかける。

未無:はい、でもこれって…。

真司:俺たちは上の指示に従うまでだ。

未無:そう、ですね。

真司:不満か?

未無:そりゃぁ、不満ですよ!だってこんなの、真司先輩を生贄にしてるようなものじゃないですか!

真司:…そうだな。

未無:真司先輩は、それでいいんですか?納得してるんですか!?

真司:あぁ、俺は元々ヒーロー側の人間じゃないんだよ。どちらかと言えば敵側だ。悪役は滅ぶべき。そういうことなんだろ。

真司は半ば諦めとも取れる言葉を言って俯いた。その拳は強く、血が滲むほど強く握られていた。

未無:真司先輩、守りたい人っていますか?

真司:俺にはいないな。大事なものは皆、この異能が奪った。

未無:そう、ですか。

数秒の沈黙の後、未無が言葉を放った。

未無:僕が先輩を焚き付けます。先輩は思うがまま、怒りに身を任せて暴走してください。必ず…必ず、止めますから。

未無は覚悟の決まった目で真司を見る。

真司:後輩なのに、指示しやがって…ムカつくな。けど、乗ってやるよ。…必ず、止めろよ。

未無:はい、必ず…。

真司:…よし、行くぞ!

未無:はい!

2人は戦場へと歩を進めた。

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