第5章

ヒーロー基地。

長官:今日の配置を発表する。最前線を、Zランク隊。前衛を、Sランク隊。中衛を、Cランク隊。後衛を、Aランク隊。最後衛を、Bランク隊とする。では各自、配置につけ!

ヒーローたち:はい!

ヒーローたちは解散し、それぞれの配置につく。

Cランク隊。

未無:(すごいな、誠心誠意伝えたとはいえ…あんな無茶振りを通すなんて。しかも、僕たちより上のランク隊を前後に置くことで、万が一のフォローも可能。それに、僕も…。僕も、この位置なら周りがよく見える。)

風華:未無。ありがと、掛け合ってくれて。

未無:大したことはしてないよ。ただ、僕も長官も、今回ばかりは風華に期待してる。

風華:嬉しいこと言ってくれんじゃん。それじゃー、このギャル、頑張っちゃおっかなー。

未無:…風華の、今持ってる最大限の力を出して。風華の異能が暴走したら、僕がすぐ止めるから。まぁ、異能の暴走を止めるのは…風華だけに限った話じゃないけどね。

風華:…了解。全力、ね。

風華は深呼吸する。

指揮長官:AI軍が進軍開始、攻撃に備えよ!

ヒーローたち:はい!

未無:(みんなが目の前の敵に集中してる。僕も、できる限り、広い視野で…。)

風華:来たな、おこぼれさんたちよぉー…。

「異能力:風化!」

そう言って、風華がAIの体に触れると、AIは風と共に朽ちていった。

風華:よっしゃ、効果あり!やってみるもんだねぇー…。

未無:よかったね、風華。異能の暴走もなかったみたいで何よりだよ。

2人は微笑みあいながら、戦場を後にした。

ヒーロー基地。

長官:皆、ご苦労だった。今回の収穫は、Cランクヒーロー、風華の異能がAIに効果があることが判明したことだ。これによって、さらに戦略の幅が広がる。風華、それに…掛け合ってくれた未無も、ありがとうな。他のヒーローたちもご苦労だった。それでは、解散!

ヒーローたち:ありがとうございました!

ヒーローたちはそれぞれ帰路につく。

風華:いや、マジで掛け合ってくれてありがと。これで堂々と妹に、ヒーローって言えるわ。

未無:僕はそれ以上に、風華の異能がすごいと思ったなぁ…。風化って言っても、まさか消滅までいくとは思ってなかったから。

風華:サンキュー。

長官:未無、風華。

長官が2人の背後から話しかける。

風華:もう、後ろから話しかけないでくださいよー、長官。びっくりするじゃないですかぁ。

長官:すまんすまん。それにしても、風華の異能があそこまでとは…。正直、見くびっていたよ。

風華:じゃあCランクから脱却…!

風華は期待に胸を膨らませ、目を潤ませる。

長官:それは無理だ、一度決まったことは変えられん。私の一存では、な。

未無:一存では、ってことはつまり…。

風華:お偉いさんなら変えられるってことですか!?

長官:…今回のデータを見て、どうするかは上層部が決めることだ。

風華:えー、そんなぁー…。

風華は落胆の表情を見せる。

未無:でも、可能性はあるからね。頑張ろ、風華。

風華:うん、そうだね。

3人は話を早々に終え、それぞれの部屋へ帰っていった。

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