第3章
指揮長官室からの帰路。
未無:…………。
氷凍:ショックか?アイツの、異能の暴走を止められなかったことが。
未無:そう、ですね。止められたはずなのに、ってどうしても思ってしまうんです。
氷凍:それも無理はない。実際、長官が言ったことも間違いではない。
未無:…じゃぁ、やっぱり僕は!
氷凍:未無!
未無:っ!
氷凍は大声を出し、未無を黙らせる。
氷凍:…正しさは武器であって、それは傷つけることこそすれ、守り、救済することはできない。俺が昔読んだ本に書いてあった言葉だ。確かにあの時、お前がいればアイツの異能の暴走は止められたかもしれない。だが、アイツがいるあの地点まで行くのに、どれくらいの時間がかかる?アイツの異能の変化に気づくのに、どれくらいの時間を要する?それを考えれば、お前の取った行動は正解ではないが、不正解でもない。仕方がなかった、今回はこれに尽きるな。…きっと、長官は全て分かった上でお前のことを糾弾した。だってお前はその異能のおかげで、どのヒーローよりも広い視野で物事を考えなくちゃいけないから。どのヒーローよりもいち早く仲間の変化やピンチに気付き、行動しなければいけないからだ。
未無:そう、ですか。
未無は少し俯く。心が、沈んでいく。それを見透かしているかのように、氷凍から声が飛んできた。
氷凍:未無、まずは周りに気を配るところからだ。周りに目を向けていれば、自ずと分かってくるはずだ。
未無は顔をあげる。氷凍からアドバイスを受けた未無の心は、晴れ渡っていた。
未無:はい、先輩!僕、先輩のアドバイスを胸に、頑張ります! 今より、もっと早く、他のヒーローのピンチに気付いて、僕の異能を素早く使えるように!
氷凍:…いい顔してんじゃねぇか。んじゃ、今日はもう寝るぞ、また明日があるからな。
未無:そうですね、それじゃぁ…。
氷凍、未無:おやすみなさい。
2人はそれぞれの部屋に戻っていった。
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