Obedience
朝、出掛けに恋人とちょっとした口論になり、ストレスが溜まったので殴ることにした。
「これに着替えろ」
「キ……ガエロ?」
「そうだ」
無抵抗の相手をただポカリとやるだけでは面白くないから、研究所にある闘武場を舞台にして、こいつにもスポーツウェアを着させてグローブを嵌めさせた。何なら反撃しても構わないと命令する。しかし、ホムンクルスは首を横に振った。まあそれならそれでいい。
「行くぞ」
僕にはボクシングの心得がある。もちろんアマチュアだが、拳だけで人の形をしたものを壊すのは得意だ。
「ハ……イ」
ファイテングポーズだけは取らせた。なるべく立っているように努めろとも言った。だがホムンクルスは僕のワンツーを顎に受けるとあっさり尻もちをついた。立てと命じたが、そいつはテンカウント分待っても立ち上がれなかった。
「ふむ。やはり、あまり楽しめんな。やはり、ストレス解消といえばこれに限るか」
ボトムスを脱ぎ捨ててのしかかると、僕の恋人と瓜二つの(そういう風に設計したので)顔がさらに歪む。恐怖か、嫌悪感か、そのような反応に見える。実際には、こいつには感情もなければ、痛みを感じる能力もないのだが。
「イヤ……ヤメ……テ……」
事前の指示通りに発せられる言葉を聞きながら僕は精を放ち、ぐったりしているホムンクルスに掃除と後片付けを命じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます