ミッドナイト ライブラリー

就労Bのマサ

第1話 深夜の図書館へ

 夜になったら大抵の店は、閉まる。これは、大半がそうであろう。公共施設に至っては、警察、消防、自衛隊以外は、完全に閉まってしまうのは言うまでもない。しかし、世界でたった1つ、この図書館だけは、深夜でも、開いている?これは、なぜなのか?1人の少年と少女がその謎を突き止めて…


 とある夜のマンションの一室。そこには、1人の少年と母親が、住んでいる。だが、もうすでに7時になるというのに少年1人だけ部屋にいる。


「今日も遅いのかな?」


 少年は、テーブルに頭を乗せ椅子から足をぷらぷらさせながら母親を待っている。


「ご飯は、また、冷凍食品かな。」


 少年は、冷凍庫を見て見るとチャーハンがあった。少年は、皿に半分入れて電子レンジにあれてさっくり解凍を押した。

 チーン!すぐにできた。それを食べ始めたが


「もう、チャーハンたべあきたよ。」


 彼にとってチャーハンは、よく食べている食品らしい。


「もぐもぐ、ごちそうさま。」


 ものの10分で夕食は、終わった。さみしい夕食だ。


「あー、なんか、食べた感じしないよ。」


 1人で食べているので寂しさと味気なさは倍増していた。


「お母さん、早く、帰ってこないから。」


 その時、ピンポーン!チャイムがなる。


「また、あの、泣き虫か。」


 少年は、イスから降りて玄関に向かった。


「えぐ!スン!」


 1人の少女が泣きながら立っていた。


「読美!お前、また、泣いてんのかよ。」


 少年は、呆れた顔になった。


「えぐ、だってお母さん、帰ってこないんだもん。」


 この少女もお母さんが帰ってこなくて1人で留守番をしていたらしい。


「優くん、一緒にお母さんが帰ってくるまでいてよ。」


 読美は、優に泣きながら頼んだが、


「嫌だよ。お前、すぐに泣き出して最後は、母さんに電話してって駄々こねるから。」


 前も優は、読美と一緒に母さんを待っていたが、読美は、泣くばかりで挙げ句、忙しいのにお母さんに電話するし、ほんと、あの一件で母さんに怒られるし。

 優にとっては、一緒にいればろくなことはないというのはわかっている。しかし、


「優くん、スンスン、一緒にいてよ。」


 読美は、必死に頼んでいる。


「わかったよ。俺は、ゲームしてるからリビングで本でも読んでろよ。」


 優も読美のことがまんざらでもないので部屋にいれた。


「ありがとう。優くん。」


 読美は、満面の笑顔で優に感謝を表した。


「いいってことよ。」


 少し、照れ臭そうに優は、鼻をかいた。


「じゃあ、本を持ってくるね。」


 読美の部屋は、隣だからすぐに本を持ってきた。そして、本を読み出した。僕は、自分の部屋でゲームをしていたが、


「コンコン!」


 なんだよ。今いいところなのに。

 ものの、10分も経ってないのにドアからノックの音がする。開けてみると


「クスン、優くん、お母さんに会いたいよ。スン!」


 また、読美が泣いていた。手に持った本が涙で濡れている。


「そんなこと言ったって今日は、遅いって言ってたし、電話にも出ないんだろ。」


 読美はすでに10回も電話していた。しかし、LINEでもうすぐ、帰るから。電話に出られないの。おとなしく待っててねと返ってくるだけ。


「でも、私、お母さんに会いたいよ。」


 それは、僕も同じだ。


「お母さん、図書館にいるから会いに行こうよ。クスン!」


「今、なんて言った?」


「え?会いに行く?」


「それだよ、それ!なら、会いに行こうよ。」


 優は、目を輝かせてスマホの地図を出した。


「ほら、ここから図書館まで国道沿いに10分。行けなくないよ。」


「けど、子供は、夜、出歩いたら駄目だって。」


 そりゃそうだ。小学生が夜道を歩くのは、よくない。


「けど、母さんたち、いつ帰ってくるかわからないよ。」


 そう言うと読美は、また、目をうるめた。


「あーもう、泣くなよ。行って母さんに会おうよ。この前みたいに朝になってやっと帰ってきたみたいなことだったら嫌だし。」


 そういうと読美は、うるんだ目をぬぐって


「うん、でも、ちゃんと火の元と戸締まりをしてからね。」


「お前、そういうところはしっかりしてんな。」


 2人は、火の元と戸締まりをしっかりしてリュックを持って1階のロビーで待ち合わせした。


「優くん、お待たせ。」


 先に優が来ていて読美は、遅れて来た。


「おせえよ。何してたんだんよ。」


「ちゃんと、お母さんに図書館に行ってきますって手紙書いてきたんだよ。」


 呆れた顔で優が、


「これから、会いに行くんだから意味ないだろ。」


 しかし、読美は、


「入れ違いになったらお母さん、心配するから書いたの。」


 優は、早く、行きたいのでそんなことは、どうでもよくなった。


「さあ、行くぞ。」


「うん。」


 2人は手を繋いだ!


「おい!なんで手を繋ぐんだ!」


 優は、顔を赤くして読美を見た。


「え?優くんが、勝手に行かないように手をつないだんだけど?」


 優は、もっと顔を赤くして


「さっさと行くぞ。」


 読美の手を引っ張ってマンションを出た。

 読美は、うれしくて


「優くん、ありがとう」


 と囁いた。


「あ?なんか言ったか?」


「うん、なにも言ってないよ。」


「変なやつ!」


 2人はマンションを出てすぐに左に曲がった。国道沿いにまっすぐ、進めば、目的地の図書館がある。

 2人は、無事に図書館につけるのか?

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ミッドナイト ライブラリー 就労Bのマサ @yokoyama2002

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