16話 第三の試練の行方

暗い通路を抜けた一行は、一際大きい広間にたどり着く。天井は8メートルほどの高さにそびえ、壁には蒼白い光の玉が時計回りに円を描くように浮かんでいる。2メートルと5メートルの高さに並んだ光が、広間全体を蒼白く、だが明るく照らし出す。丘菟が「あぁ、あの時は凄い緊張感でさ。前と同じか覚えてないや」と苦笑い気味に嗤うと、リルが「私も私も!」と先生に当ててもらいたい生徒のよう手を挙げて言う。アソンは扇を手に、「まぁ、初見だったらそうかもね?俺達は丘菟達がいるからそんな緊張せずにきてるけどね?」とセバスとピヨニットを見る。セバスが「そうでございますな。お嬢様達の経験が我々を導いております」と頷き、ピヨニットが少し思案した後、「道中の行動を考えると…結局、はい!そうですね、お嬢様」と明るく同意する。場の空気が緩くなりつつある中、天井から異変が始まる。

「ゴツゴツ…」と重い音が響き、丸い物体がゆっくり降りてくる。いつの間にか地面に落ちていた岩が吸い寄せられるようにくっつき合い、形を成していく。丘菟が「これは…!」と目を凝らすと、リルが「ストーンガーディアンだ!」と叫ぶ。ガルドと戦った時より2メートルほど大きくなり、全高5メートルほどの巨体が姿を現す。岩の表面は苔に覆われ、両腕は太く、目は赤く光る。「第三の試練開始。挑み、掴み取れ、勝利を」と機械的なアナウンスが広間に響き渡る。一同は一瞬息を呑み、戦闘準備に入る。

丘菟が「僕とリルの時は3メートルくらいだったのに、でかくなったな。パーティーの人数で変わるのか?」と剣と盾を構える。リルが「うん、前は緊張したけど、今はみんながいるから頑張れるよ!」とタクトワンドを握る。アソンが「ふふ、私の美貌がこの巨岩を砕く瞬間を見せてあげるわ」と扇を広げ、セバスが「御意に。お嬢様のサポートは私にお任せを」とエストックを手に持つ。ピヨニットが「お嬢様、丘菟様、私も援護しますわ!」とダートナイフを手に気合いを入れる。ストーンガーディアンが「ゴゴッ!」と地面を踏み鳴らし、両腕を振り上げて威嚇する。

丘菟が「前と同じなら動きは遅いけど、耐久力が高い。狼みたいに統率はないけど、一撃が重いから気をつけてくれ!」と指示を出す。アソンが「了解よ。後衛でしっかり削るわ」と位置を取り、リルが「丘菟、私が回復と攻撃を両立するね!」と準備する。セバスが「盾のない側を私が守ります。丘菟様、前を頼みます」と右側に立つ。ピヨニットが「水滴より怖いけど、負けません!」と少し震えつつも決意を示す。ストーンガーディアンが「ガァァ!」と咆哮を上げ、戦闘が始まる。

丘菟が「行くぞ!」と叫び、盾を構えて突進する。「オラァ!」と声を上げ、盾を叩いて敵愾心を引きつける。ストーンガーディアンが右腕を振り下ろし、「ドォン!」と地面を叩くが、丘菟が「ガン!」と盾で受け止める。衝撃で膝が震えるが、「まだいける!」と耐える。セバスが左側からエストックを突き出し、「シュッ!」と岩の隙間を狙うが、「カツン!」と硬い表面に弾かれる。「やはり硬いですな」と呟く。リルが「光弾!」と光の矢を放ち、アソンが「エアカッター!」と風の刃を飛ばすが、表面に浅い傷をつける程度だ。ピヨニットがダートナイフを投げ、「ガッ!」と目に当たるが、赤い光が揺らぐだけだ。

ストーンガーディアンが「ゴゴゴ…!」と両腕を振り上げる。「来るぞ!」と丘菟が叫ぶが、強打が「ドガァン!」と盾に直撃。防ぎきれず、「うわっ!」と叫びながら盾ごと吹き飛ばされ、壁に「ガン!」と叩きつけられる。「ぐっ…!」と地面に崩れ落ち、剣が「カラン」と落ちる。リルが「丘菟!」と叫び、アソンが「ちょっと!しっかりしてよ!」と扇を振る。セバスが「私が時間を稼ぎます!」と前に出て、ストーンガーディアンの左右の拳をダンスのように回避する。「フッ、右、左…まだまだ私も昔のように動けますな」と哀愁を漂わせながら軽やかに踊る。拳が「ドン!ドン!」と地面を叩くが、セバスは「ハッ!」と身を翻し、全てかわす。

ピヨニットが「お嬢様、私行きますわ!」と叫び、打ち下ろされた拳に飛びつく。岩の隙間を掴み、「よいしょ!よいしょ!」と腕を登る。赤く光る目にたどり着くと、指に挟めるだけダートナイフを準備。「これでもくらえ!」と「シュシュシュッ!」と連続投擲。ナイフが目に「ガガガッ!」と刺さり、ストーンガーディアンが「ゴァァ!」と苦しげに頭を振る。ピヨニットが「やった!」と腕から飛び降りるが、勢い余ってバランスを崩し、「ひゃっ!」とよろける。セバスが「ピヨニットさん!」と素早く駆け寄り、お姫様抱っこでキャッチ。「お怪我はありませんな?」と優しく地面に下ろす。ピヨニットが「執事長、ありがとうですわ!ちょっとドキドキしました!」と頬を赤らめ、アソンが「ふふ、セバスのナイスキャッチね。ピヨニット、ナイス攻撃よ!」と褒める。リルが「セバスさん、すごい!ピヨニットちゃんも!」と目を輝かせる。

丘菟が「うっ…」と立ち上がり、「まだ終わってないぞ!」と剣を拾う。セバスが「丘菟様、お戻りですな」と下がり、丘菟が「盾は間に合わないけど、攻撃でカバーする!」と復帰。ストーンガーディアンが右拳を振り下ろすが、丘菟が「ハッ!」と横に飛び、剣で「ズバッ!」と腕の関節を斬る。岩が「ガラッ」と崩れるが、再生するようにくっつく。「耐久力高いな!」と舌打ちする。リルが「丘菟、私とアソンで合体魔法やるよ!」と提案し、アソンが「ふふ、良いわね。私の美貌とリルの力が合わされば!」と扇を構える。

戦闘はさらに激化する。ストーンガーディアンが「ゴォォ!」と咆哮し、左拳を振り上げる。丘菟が「セバス、右だ!」と叫び、セバスが「シュッ!」とエストックで突くが、「カン!」と弾かれる。拳が「ドォン!」と地面を叩き、衝撃波が「ゴォ!」と広がる。丘菟が「うっ!」とよろけ、リルが「丘菟、大丈夫!?」とタクトを振る。アソンが「エアシールド!」と風の壁を作り、衝撃を軽減。「私の美貌が守ってあげるわ!」と笑う。ピヨニットが「もう一回!」とダートナイフを投げ、「ガッ!」と目に命中させるが、ストーンガーディアンは怯まず両腕を振り回す。

丘菟が「動きが単調でも威力が高い。狼の統率はないけど、ビックラビットみたいにタフだな」と分析。「みんな、集中攻撃で隙を作ってくれ!」と指示。リルが「光の連鎖!」と光の鎖を放ち、ストーンガーディアンの腕を「ガシャン!」と縛る。アソンが「エアスラッシュ!」と風の刃を連発し、「シュシュッ!」と岩に傷をつける。ピヨニットが「御主人様の為に!」とナイフを投げ続け、「ガガッ!」と目を攻撃。セバスが「ハッ!」と跳び、エストックで「シュッ!」と隙間を突く。丘菟が「今だ!」と剣を振り、「ズバッ!」と胸に斬りつけるが、「カツン!」と浅い傷しか残らない。「くそっ、硬すぎる!」と叫ぶ。

ストーンガーディアンが「ゴゴゴ…!」と地面を踏み鳴らし、両腕を高く上げる。「また来るぞ!」と丘菟が構えるが、拳が「ドガァン!」と直撃。「うぐっ!」と再び吹き飛び、壁に「ガン!」と激突。「丘菟!」とリルが駆け寄り、「ヒール!」とタクトを振る。柔らかい光が丘菟を包み、「うっ…ありがとう、リル」と立ち上がる。アソンが「セバス、ピヨニット、援護よ!」と指示。セバスが「御意に!」とダンスを再開し、拳を「ドン!ドン!」とかわす。ピヨニットが「もう一度登りますわ!」と拳に飛びつき、腕を登り、「シュシュッ!」と目にナイフを投げる。「ゴァァ!」とストーンガーディアンが頭を振る。

丘菟が「リル、アソン、合体魔法の準備を!」と叫び、リルが「うん、行くよ!」とタクトを構える。アソンが「私の美貌が炸裂するわ!」と扇を広げる。ストーンガーディアンが右拳を振り下ろすが、丘菟が「ハッ!」と避け、「ズバッ!」と腕を斬る。再生するが、「隙ができる!」と見極める。リルが「フレイム・バースト!」と炎を放ち、アソンが「エアブラスト!」と風を重ねる。「ゴォォ!」と炎が風に煽られ巨大な火球となり、ストーンガーディアンの胸に「ドォン!」と直撃。岩が「バリバリ!」と砕け、赤い目が一瞬暗くなる。丘菟が「今だ!」と叫び、スライディングするように足首に突進。「ズバッ!」と剣を鋭く強撃し、足首の岩を「ガラガラ!」と粉砕する事によって自重を支えられなくなり、巨体が「ゴゴゴ…!」と傾く。「ドォォン!」と地面に倒れ、白い塵と化す。討伐完了だ。

丘菟が「はぁ…やった」と剣を下ろし、リルが「勝ったよ!丘菟!」と駆け寄る。アソンが「ふふ、私達の合体魔法が見事だったわね」と扇を閉じ、ピヨニットが「お嬢様、すごいですわ!」と目を輝かせる。セバスが「昔を思い出す戦いでございました。お嬢様達の勝利、見事です」と微笑む。一同は息を整え、第三の試練を制した達成感に浸る。


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