8話 ビックラビット軍団との戦闘2

丘菟はビックラビットの重い腕を盾で受け流しつつ、左へ回り込む。平原に響く「ゴゥッ!」という衝撃音が腕に響くが、足を踏ん張って耐える。リルが駆け寄り、「丘菟、大丈夫!?」とタクトワンドを構える。丘菟は「リル、来てくれたか!こいつの動きは遅いから、隙を狙って攻撃してくれ!」と笑う。ビックラビットが「ピギッ!」と鳴き、太い脚で地面を蹴って再び襲いかかる。丘菟は盾を前に出しつつ、横目で仲間達の動きを確認する。セバスとピヨニットが角兎3匹を牽制し、リルが丘菟のサポートに回り、アソンが1匹を相手にしている。戦況は安定しているが、ビックラビットの硬さが予想以上だ。

その時、アソンは扇を手に角兎と対峙しながら、心の中で驚嘆していた。「セバスすげぇー、何々、1000円でこれだけの技術力や知力が高いAIになるのかよ」と。先ほどのセバスの華麗な三段突きが脳裏に焼き付いている。あの正確さ、判断力、そして落ち着き――1000円の初期AIとは思えないほどの完成度だ。アソンはドレスの裾を軽く揺らしつつ、「でも、ピヨニットも同じはずなのに何でポンコツっぽくなってるんだ?」と首を傾げる。ピヨニットは「へ?」と返事をした後、3匹の角兎を牽制するだけで手一杯に見える。同じ課金AIなのに、セバスとの差が気になって仕方ない。

だが、角兎はアソンの思索を待ってくれない。「ギィ!」と突進してきた角兎に、アソンは「ふん、考え事の邪魔しないでよね!」と扇を振り上げる。「エアカッター!」と叫ぶと、扇から鋭い風の刃が放たれ、角兎の前足をかすめる。「ギッ!」と角兎が跳ねて後退し、アソンは「ふふん、これが美貌と実力の融合よ!」と優雅にステップを踏む。牽制に成功したものの、完全に倒すには至らない。アソンは「まあ、丘菟の指示通り近づかれなければいいか」と呟き、扇を構え直す。その様子を遠目に見ていたセバスは、アソンが何か考えていることに予想が立つようだ。「ピヨニット、今度は私が3匹を相手にします。お嬢様の助力をして、1匹減らしてきなさい」と指示する。

ピヨニットは今回は理解したのか、「有り難うございます、執事長!」と返し、矢のごとく低い姿勢でアソンの元へ向かう。横合いから射程に入った瞬間、両手からダートナイフを3本ずつ放つ。「シュッ!シュッ!」と6本のナイフが角兎に全弾命中し、「ギィ!」と動きが止まる。ピヨニットが「お嬢様!今がチャンスです、エアブラストを!」と叫ぶと、アソンは近づく声に反応し、「エアブラスト!」と扇を振る。無数の風の刃が全方向から打ち放たれ、角兎を切り裂く。角兎は断末魔を上げる時間も与えられず、白い塵となって消失する。アソンが「ナイスアシスト!ピヨニット、後でいい子いい子してあげるね!」と笑うと、ピヨニットが「ホントですかお嬢様!」と嬉しそうに耳をピクピク動かし、メイド服のスカートが大暴れする。

遠目で見ている余裕のあるセバスが「はい!ピヨニットさん、戻ると!」と大きい声を上げると、ピヨニットが「ひゃっ!」とビクつく。「お嬢様は丘菟さんのお手伝いか、取り巻きどちらを倒すか決めて行動してください」とピヨニットに言う。AIに決定権はないため、ユーザーに判断を委ねる形だ。ピヨニットはセバスの元へ戻り、「褒められましたわ!」と報告すると、セバスが「良かったですね」と孫娘を優しく見るような目で返す。一方、丘菟はビックラビットの攻撃を盾で弾きつつ、リルに「今だ、光弾で足を狙って!」と指示する。リルが「うん、分かった!」とタクトワンドを振ると、「パン!パン!」と光球がビックラビットの前足に連続で命中。ビックラビットが「ピギッ!」とバランスを崩すが、すぐに立ち直る。

丘菟は「硬いけど、動きは鈍る!リル、もう一発!」と叫び、自身もナックルガードで反撃。拳がビックラビットの腹に当たると、「ゴン!」と鈍い音が響く。少しよろけるビックラビットを横目に、丘菟は仲間達の連携が鍵だと再確認する。セバスはエストックで角兎3匹を牽制し始め、ピヨニットがアソンの援護で1匹を倒したことで戦況が有利に傾く。アソンは「ふふん、この美貌が勝利を引き寄せるのよ!」と扇を構え直し、丘菟は「この調子ならビックラビットを削れる!」と確信する。平原に戦いの熱気が満ちていく。


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