3話 相対する虚なもの
丘菟は剣を構え、遺跡の隠された部屋で響く足音に目を凝らす。水晶の淡い光が揺れる中、通路の奥から二つの影が現れる。一つは「ボーンウォーリアー」。錆が浮き、刃こぼれしたバスターソードを右手に握り、ボロボロの革鎧が骨と破れたインナーを覗かせている。左腕は手首辺りから欠損し、ギザギザの骨が不気味に突き出ている。もう一つは「ボーンマジシャン」。色が抜けて白くなった宝玉が欠けた杖を持ち、ツバがボロボロのウィッチ帽子をかぶり、苔が所々に付いたローブを纏っている。骸骨の敵が初めて単体ではなく、丘菟は額に汗が滲むのを感じる。「うわっ、二人組かよ…」と呟き、剣を握る手に力が入る。
リルがタクトワンドを構え、「ねえ、丘菟!私達と同じパーティー構成だね!」と気後れもせず明るく言う。丘菟は一瞬目を丸くし、内心で「怖がりなのに、なんで大丈夫なんですかねぇリルさん」と困惑する。前回の角兎戦で怯えていた記憶が蘇るが、リルの青い瞳はむしろ楽しそうに輝いている。丘菟は「まあ、頼もしいっちゃ頼もしいけど…」と苦笑し、敵に視線を戻す。ボーンウォーリアーがバスターソードを振り上げ、ボーンマジシャンが杖を掲げると、薄緑の光が先端に集まり始める。「まずい、2対1で集中攻撃されたら持たない!」と判断した丘菟は声を張り上げる。「リル!互いに同じ装備に近い相手を攻撃して隙を作ろう!」
ボーン達はこちらの言葉を理解していない様子で、ただ無機質に近づいてくる。それが逆に幸いし、丘菟がボーンウォーリアーへ、リルがボーンマジシャンへと自然に分かれる形で対峙する。丘菟はリルに素早く指示を飛ばす。「リル、なんとか隙を作って倒すから、魔法で撃ち合って当たらないようにしてくれ!」リルが「了解!」と頷き、タクトワンドを振ると、青い光球がボーンマジシャンへ飛ぶ。敵の杖からも緑の光弾が放たれ、二つの魔法が空中でぶつかり合い、「パンッ」と乾いた音が響く。リルが「うわっ、結構強いよこれ!」と叫びながらも、軽やかに動き回る。
丘菟はボーンウォーリアーと向き合い、剣を構える。相手のバスターソードは片手剣より間合いが広く、錆びていても一撃の重さが脅威だ。だが、よく見ると敵は骨だけで筋肉がない。動きが硬く、力の入れ方が不自然だ。「これならスピードで勝負できるか」と丘菟は踏み込み、敵の振り下ろしを円盾で受け流す。「ガキン!」と金属音が響き、腕に衝撃が走るが、予想より軽い。ボーンウォーリアーが左腕の欠けた側を振り回してくるが、丘菟は身を低くして躱し、剣で革鎧の隙間を狙う。「骨だけなら脆いはず!」と刃を振り下ろすと、「ガリッ」と音がして骨が欠ける。
一方、リルとボーンマジシャンの魔法戦は激化している。リルが「フレイム・バースト!」と叫び、赤い炎の矢を放つと、ボーンマジシャンが緑の光幕で防ぐ。「うーん、硬いね!」とリルが舌を出すが、敵の動きが一瞬止まるのを見逃さない。丘菟は「リル、その調子で隙を作ってくれ!」と叫び、ボーンウォーリアーの攻撃を盾で弾く。バスターソードが地面に叩きつけられ、「ゴン!」と鈍い音が響く。丘菟はその瞬間を逃さず、敵の膝裏を剣で斬りつける。「ガキッ」と骨が砕け、ボーンウォーリアーがバランスを崩す。「よし、今だ!」と丘菟はさらに剣を振り上げ、頭蓋骨を狙う。
同時刻、リルが「ウィンド・スラッシュ!」と風の刃を放つと、ボーンマジシャンのローブが裂け、杖が一瞬下がる。「丘菟、チャンスだよ!」とリルが叫ぶ。丘菟はボーンウォーリアーの頭を叩き割り、「ガシャン!」と骸骨が崩れ落ちる音を聞く。振り返ると、リルがボーンマジシャンに追撃の光球を叩き込み、敵が白い塵となって消える。丘菟は息を整え、「やった…!」と呟く。リルが「ねえ、結構強かったよね?でも私達、いいコンビだね!」と笑う。丘菟は額の汗を拭い、「そうだな。でも次はもっとヤバいのが来そうで怖いよ」と苦笑する。部屋の水晶が再び光り、次の試練を予感させる。
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