18話 部活動と雑談
部室で原稿用紙を手に持つと、美奈ねぇさんが「丘菟と私で、文脈を繋げてトリッキーな改変昔話でも書こうか」と提案してきた。
彼女のボブカットが揺れ、柔らかな笑顔が父方の従姉らしい安心感をくれる。
「面白そう」と頷き、合意する。
アソンが近くで「それ、部誌に載せようぜ」と笑うが、話題がリンク・ワールドに移る。
「昨日さ、初めてフィールド外の探索で遺跡へ向かったんだ!昨日初めて会ったガルドさんの助力もあって初挑戦でクリアした自分的に褒めてほしいよ。
そういえば、アソンは数日ログインしてなかったけど、どうしたの?」と聞くと、アソンが少し照れ臭そうに答える。
「おお、初挑戦でクリアはすごいじゃん!褒めてやるよ。俺はさ、アバター作り直してて。
スタイル抜群の女性にリメイクしようとしたんだけど、納得いかなくて時間かかってた。今日には完成する予定だよ」と得意げだ。
そっと近づき、小声で「藤原さんと佐藤さんの見た目、ちょっと参考にしてるから、内緒で頼む」と囁く。
藤原美咲のショートカットでスラリとした姿勢、佐藤遥香の眼鏡越しの知的な瞳を混ぜたらしい。
丘菟は「え、マジで?」とやや引き気味に呟く。
アソンが「いや、完璧にしたいだけだから!」と慌てて弁解する中、下校のチャイムが鳴り響く。
部室が一気に片付けモードに。
二宮先生が「はい、今日はここまで」と声をかけ、皆が荷物をまとめる。
松本部長が「次までに原稿考えておいてな」と言い、石川が「締め切り守れよ」と念押し、高橋が「デザイン案出すよ」と呟く。
後輩の林彩花が「楽しかった!」と笑い、小林真緒と田中梨乃が頷く。
美奈ねぇさんが「丘菟、晩御飯どうする?母さんに連絡すれば、丘菟分くらい大丈夫だよ」と優しく言う。
両親不在の生活で、美奈の家に世話になるのは初めてじゃない。
「じゃあ、お願いします」と御相伴にあずかることに。
リルのホログラムが腕の端末から浮かび、「美奈さん、優しいね」と囁く。
部室を出て、美奈と並んで校門へ向かう。
アソンのアバター話が頭に残りつつ、現実の温かさが心に染みる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます