8話 フィアの遊び心

 浮島の風が穏やかになり、僕は手元の「力の指輪」をじっと見つめる。


 銀の表面に刻まれた「微弱な力+1」の文字が、微かな光を反射している。


「アクセサリーって種類あるの?重複装備できるなら、いくつまで?」


 とガルドに聞くと、彼はアイアンメイルを軽く叩き、


「種類は力、智力、素早さとかランダムだ。重複はできるが、上限は5つまで。それ以上は効果が重ならねえよ」と答える。


 白銀髪が風に揺れ、狼耳がピクリと動く。


「俺のはこれだ」と左腕を見せ、細い「智力の腕輪」を示す。


「今回は智力+1だな。お前のは力か、悪くないな」と笑う。傷跡のある顔に親しみが滲む。


 僕が「確かに微弱だけど嬉しいよ」と返すと、フィアが「ちょっと貸して!」と僕の指輪に手を伸ばす。


 虹色の羽根が揺れ、緑のドレスが風に軽く翻る。


 ガルドが「報酬はユーザー限定だぞ」と止めようとするが、フィアは光に包まれ、サイズを指輪に合わせて大きくなり「えいっ!」と輝きと共に指輪を装着し、


「見て見て、私だって強くなれる!」と羽根をパタパタさせるが浮かぶのが大変そうだ。


 リルが「フィア、似合う!」と笑い、桜色のワンレンロングが肩に掛かる。


 ウィッチ帽子を押さえ、「私も何か欲しいな」と呟く。


 ガルドが「遊びすぎだ」と呆れつつ、大剣を肩に担ぐ。


 僕は笑いつつ、仲間との時間がさらに温かく感じられた。


 フィアが「力、感じるよ!」とくるくる回ると、ガルドが「返せよ」と苦笑する。フ

 ィアが指輪を外し、僕に返すと、「やっぱり丘菟の方が似合うね」と笑う。


 リルが「次は私にも何か見つけてね」と言うと、僕は「分かった」と頷く。


 革鎧の軽さが体に馴染み、リングの微かな重みが手に心地よい。


 ガルドが「アクセサリーは地道に集めるもんだ。焦るなよ」とアドバイスする。アイアンメイルが鈍く光り、彼の言葉に重みがある。


 浮島の頂上で、仲間たちの賑やかさが現実の孤独を遠ざける。


 この世界での小さな成果が、僕に少しだけ自信を与えてくれる。


 風が静かになり、水晶が穏やかに光る。


 ガルドが「さて、次はどうする?」と聞くと、僕は「もう少し冒険したい」と答えた。


 仲間との時間が、ここでの僕を支える力だ。


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