5話 浮島頂上、最終試練(守護者を倒せ)
扉の先は浮島の頂上だった。
強い風が吹き抜け、空が現実より近く感じられる。
足元の岩肌はゴツゴツとし、遠くに雲海が広がる。中央に巨大な水晶が浮かび、青白い光を放っている。
僕は剣を握り、革鎧の軽さを確かめる。
リルが「すごい景色だね」と呟き、桜色の髪が風に舞う。ウィッチ帽子が揺れ、タクトワンドを手に持つ姿が頼もしい。
ガルドが大剣を肩に担ぎ、「気を抜くなよ」と低い声で警告する。
突然、地面が低く震え、水晶から「最終試練:守護者を倒せ」と表示された。
次の瞬間、岩石が集まり始め、3メートルを超える「ストーンガーディアン」が姿を現す。
巨人の体は苔むした岩で覆われ、両腕はハンマーのように太く、赤い目が不気味に光る。
低い唸り声が風を切り、僕は剣を抜いて円盾を構えた。
「リル、援護頼む!」
「任せて!」
と彼女がタクトワンドを振り、光の矢が飛び出す。矢が巨人の肩を削り、石屑が舞う。
ガルドが「行くぞ、丘菟!」と吠え、大剣を振り上げて突進する。狼耳がピクリと動き、白銀髪が風に翻る。
アイアンメイルが巨人の拳を受け止め、鈍い衝撃音が響く。
「硬えな!」とガルドが笑う。
僕は横に回り込み、革鎧の軽さを活かして巨人の脚を狙う。剣を振り下ろすと、岩が砕け、ナックルガードで追撃を加える。
巨人が咆哮し、拳を振り下ろすが、円盾で受け流す。衝撃が腕に伝わるも、革鎧がそれを吸収する。
リルの魔法が巨人の目を直撃し、「今だ!」と叫ぶ声が聞こえた。
ガルドが大剣を振り上げ、傷跡のある顔に笑みを浮かべて巨人の胸を叩き割る。
僕は剣を突き刺し、巨人が崩れ落ちる。岩が砕け散り、水晶が輝きを増して「試練クリア」と表示された。
息が上がり、額に汗が滲む。
ガルドが大剣を地面に突き立て、「やるじゃねえか」と息を整える。
リルが「やったね!」と跳ねて近づき、青い瞳が輝く。
僕は盾を下ろし、革鎧の擦れ音を聞きながら仲間との連携に胸が熱くなった。
この世界での戦いが、現実の僕に少しだけ力を与えてくれる。
ガルドが「次はお前が前に出るか?」と笑うと、僕は「やってみる」と頷いた。
風が強さを増し、浮島の頂上が静寂に包まれる。
試練を越えた達成感が、仲間との絆と共に心に刻まれた。
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