3話 広間、第二の試練(勇気を試せ)

 通路の先は広大な広間だった。


 天井は高く、薄暗い光が石の柱に反射して影を落としている。


 中央には古びた石の台座があり、その上に赤く光る水晶が浮かんでいる。


 革鎧の軽い擦れ音が響き、僕は剣を手に持つ。


 リルが隣で「ここ、ちょっと怖いね」と呟き、ウィッチ帽子の下で桜色の髪を揺らす。


 彼女の肩ローブが微かに動き、タクトワンドを握る手が緊張で固まっている。


 突然、水晶が輝きを増し、「第二の試練:勇気を試せ」と表示された。


 次の瞬間、床が低く揺れ、広間の隅から狼型のモンスターが姿を現す。


 灰色の毛並みに赤い目、鋭い爪が石畳を引っ掻く音が響く。


 僕は剣を抜き、円盾を構えた。革鎧が肩をしっかり守り、ナックルガードが手に力を与える。


「リル、後ろに下がってて」


 と低い声で指示するが、彼女は「えー、私も戦えるよ!」と少し拗ねたように反論。


 タクトワンドを構え、小さな光弾を放つ。


 光が狼の肩をかすめ、毛が焦げる匂いが漂った。狼が咆哮し、爪を振り下ろしてくる。


 僕は盾で受け止め、衝撃が腕に伝わるも、革鎧がそれを和らげる。


 ナックルガードで狼の顎を殴り、剣を横に振るう。刃が毛皮を切り裂き、鋭い金属音が広間に響く。


 リルの魔法が援護し、光弾が狼の背を直撃。


 狼がよろめいた隙に、僕は盾を押し上げて距離を取り、剣を振り下ろす。


 リルの「もう一発!」という声と共に光が炸裂し、狼が粒子となって消えた。


「クリア!」


 リルがウィッチ帽子を直し、跳ねるように拍手する。青い瞳が輝き、桜色の髪が揺れる。


 僕は息を整え、剣を鞘に収めた。盾の軽い擦り傷を指でなぞり、リルのサポートの頼もしさを実感する。


 アタッカーとしてもタンクとしても、この装備と仲間ならやっていける。


 広間の静寂が戻り、水晶が再び赤く光った。


 試練を一つ越えた達成感が胸に広がる。


 現実では味わえないこの感覚が、僕をここに引き寄せる理由だ。


 リルが「次は何かな?」と笑うと、僕は小さく頷き、「進もう」と答えた。


 革鎧の重みが心地よく、次の試練への期待が膨らむ。


 ゲーム内の自分が、現実の僕に少しだけ自信を与えてくれる気がした。


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