幸せな時間に
デート当日。集合時間ぴったりに駅前の噴水に行くと、そこにはもう彼の姿があった。彼は私の姿を見ると、笑顔で手を降ってくれた。
「おはよう」
「うん、おはよう」
そして、星夜くんは私を見つめた。
「もしかして、服装変…!?」
「いや、すっごく可愛い。」
…。か、可愛い!?今日の服装は茶色のトップスに白色のロングスカートだ。いつもは肩まで伸びた髪を下ろしていたが、今日は少し低めの位置でポニーテールをしている。いつもは結ばないから、朝は苦労した。そして迷ったすえに、メイクはリップだけを塗った。
「…そろそろ行こうか」
「うん!」
しばらく沈黙が続いたが、彼の声で水族館に向かい始めた。そして、電車を何本か乗り継ぐと、水族館に着いた。
「うわぁ」
水族館は思っていたよりも広く、オシャレだった。最近リニューアルしたらしい。どうやらイルカを触る体験もできるそう。
「どこからいく?」
「そうだなぁ。私、クラゲが見たいかな」
「クラゲねっ。いいじゃん。いこいこ!」
まずはクラゲを見に行き、そのあとはペンギンを見に行った。たくさんの生き物を見ながらたくさんの話をする。
「ヒトデを触る、っていう体験あるよ!」
「うー、気持ち悪い」
「そう?ヌメヌメして面白い」
「イルカと触れ合い体験だって!」
「へー、イルカってザラザラしてるんだ」
「ねっ、ツルツルしてるかと思ってた」
一通り見て回るとお腹が空いてきた。そろそろお昼だと思い、昼食を食べに行こうと、水族館の中のカフェに入った。
「えー、可愛い食べ物がたくさん!どうしよう、迷うなあ」
「どれもいいよな!俺はデザートは決まったぜ」
「順番逆でしょw」
結構悩み続けて、選択肢を2個まで絞った。でも、どちらにするかが決められない。
「決まった?」
「ごめん、まだ決められてなくて、2つで迷ってるんだ…」
「何と何で迷ってるの」
「このイルカレーと、ペンギン弁当。」
イルカレーはイルカに見立てた青いカレーがかかっている料理で、ペンギン弁当は氷を見立てた白米の上にペンギンの形の具材が乗っているというもの。この2つが魅力的で、なかなかきめられなかった。
「じゃあ、半分個しようか」
「えっ、いいの?」
「俺もイルカレー気になってたんだ!」
彼の提案で料理は半分こすることに決まった。運ばれてきた料理はどちらも可愛くて、夢中で写真を撮ってしまった。
「その写真、あとでちょーだい」
「今撮った写真?いいよ」
そして味も抜群!青いカレーは食べるのに少し勇気がいるけど、とてもおいしかった。そして食後のデザートにチンアナゴパフェとヒトデドーナツを頼んだ。どちらもとても可愛かった。そして、そんな可愛い食べ物を前に、とても会話が弾んだ。私は幸せな時間を沢山過ごした。
「そろそろイルカショーの時間だ。もういける?」
「いけるよ」
私達は会計を済ませると、イルカショーの会場へと向かった。
「うわ、思ったより混んでるね。席取れるかな…」
「大丈夫だよ、事前に席は取ってあるから」
彼は人一倍気遣いができる人だった。そんな彼に私は今日も惹かれていった。
おみやげを買い、水族館を出て、家についてもまだ気持ちはおさまらなかった。私の手には、星夜とおそろいのキーホルダー。そして、彼のLINEのアイコンは、今日私が送った料理の写真になっていた。
あの場所で君とまた… @tatti-nana
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