本当の想いに
学校についても、頭の中をぐるぐると駆け巡る汚い感情は消えなかった。それに、学校特有の居心地の悪さが加わり、吐き気がしてきた。急いでトイレへと向かう。…向かおうとしたが、途中で気分の悪さで座り込んでしまった。しかも、最悪なことにこんなことになっている自分を見られたくなくて、人のあまりいないところに来てしまった。…もう、ダメだ。
「おい、大丈夫か!?」
頭上から声が降ってきた。
「星夜?」
上を見ると、星夜が心配そうに私の顔をのぞき込んでいた。星夜は私の前にしゃがみ、私と目線を合わせた。そんな優しい星夜をみると、涙がこみ上げてきた。そんな私を星夜は見ると、私の手を引いて歩き出した?歩いているときも涙が止まらない。星夜が歩きを止めた。落ち着いて辺りを見るとそこは屋上だった。星夜は私の手を離すと、
「ここなら誰もいないから、話を聞かせて」
優しい彼なら、何でも受け止めてくれると思った。だから話した。私の話に星夜は「うん」と何度も頷いた。そうして話し終えることができた。話し終えたときには、すっかり涙も引いていた。そんな私に星夜は
「よく頑張ったな」
と言ってくれた。
「きっと美鈴は寂しかったんだ。美鈴の気持ちは美鈴しかわかんないから、違うかもしれないけど、」
「美鈴は愛されたかったんだな」
と。それを聞いて、気づいた。
「星夜、」
「ん?」
「そうだよ、私寂しかった。普通の人がもらっている愛情を私も受け取りたかった。今気づけた。」
星夜はそれに頷く。
「ありがとう、星夜」
授業が終わり、学校が終わると、一目散に家へと走った。家に着き、リビングに入ると、そこではお母さんがホットケーキを作って待っていた。そして私を見ると
「ごめんなさい!」
と私のことを抱きしめた。
「お母さん、間違ってた。美鈴がいてくれるだけで幸せだったのに、美鈴がしっかり行きられるようにって押し付けてた。本当にごめんなさいた…」
そんなお母さんをみていると、また涙溢れてきた。
「ううん、お母さん。私こそごめんなさい。私、愛してほしかったの。お母さんからの愛情がほしかった。」
するとお母さんはゆっくりと口を開いた。
「私は美鈴のことが何より大切。これからは、そのことをたくさん伝えていくね。」
「うん!」
やっと、お母さんとわかり会えた気がした。ホットケーキを食べながらたくさんのことを話した。ときどき土曜日と日曜日に帰ってこなかったのは、体調を崩しやすいおばあちゃんの看病に行っていたからだということ。言ってくれればよかったのに、というと、心配かけたくなかったのよ、と言っておちゃめに笑った。そんなお母さんが私はとてもうれしかった。
美「星夜、お母さんと仲直りできた、ありがと」
星「どういたしまして」
美「星夜になんかお礼がしたいんだけど、何かしてほしいことある?」
星「んー、じゃあテスト終わったらデートしよ!」
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