湧き上がる怒りに

今日から、テスト週間に入った。テストにちゃんと取り組みたいと、星夜はテスト週間中は公園に行かないと言っていた。これも将来につながっていくんだと。だから、私も公園にはテスト期間中は行かないことにした。勉強に専念しようと。




朝、学校に行く用意をしようと、洗面所に向かう。顔を洗い、髪を整えて制服をきる。そしてリビングへと向かう。毎朝、お母さんはいない。それがもう当たり前だ。お母さんは夕方から朝まで働き、朝の8時くらいに帰ってくる。だから、今日もいないはずだった。が、リビングにはお母さんが部屋着でソファに座っていた。それにとてもびっくりした。お母さんは金曜日に仕事に出かけ、それから帰ってこなかった。こういうことは何度かあったから、心配はしなかった。別に、何をしているか知りたいとは思わない。知ってしまったら何かが壊れてしまう気がするから。声をかけることもできずに、そのまま朝食を作ろうとすると

「美鈴」

少しきつめの声で呼び止められた。何かあるのかと身構えてしまう。

「…なに?」

「あんた、金曜日の夜、どこに行ってたの?」

言われた言葉にビックリした。何でバレた…?別に隠していたわけではない。でも、バレてしまったら面倒くさいことになる。そう思っていた。お母さんは言葉を続ける。

「金曜日の夜、お母さん、体調悪くなって早めに帰らせてもらったの。そしたら、美鈴がいなくて。ビックリして自分の部屋で待っていたら、12時くらいに扉が開く音がした。ねえ、どこにいってたの?」

私は星夜の提案で、毎日10時から12時まで公園にいることに決めていた。寝不足はよくないから、と。ちゃんと私は自分のことはしっかり考えているつもりだ。家の家事だって、勉強だって。なのに、なんでそんなに責められなければいけないのだろう?それに、お母さんは一度家に帰ってきていたの?じゃあ、土曜日と日曜日はどこで何をしていたの?私は何も知らないのに、私はお母さんに教えなきゃいけないの?

「…、んで」

「えっ?」

「なんでそんなに私のことを責めるの?」

お母さんが目を見開く。

「勉強も、たくさんやれって、テストの上位にいけって、それがどれだけ私のプレッシャーになってたか知ってる?」

「み、すず」

「私にはぜんぜん何もしてくれないくせに、強い言葉だけたくさんかけて、」

あぁ、誰か止めて…

「ほんとうに私の親なの!?」

言い切ってしまうと、息切れしていた。お母さんは一瞬悲しそうに顔をゆがめた後、家を出ていった。家の中には扉を閉める音だけが響いていた。

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