弱い自分に
昨日の彼は、一体誰だったんだろう?教室へと向かう道、そんな疑問ばかりが頭の中に浮かんでいた。昨日、目覚めると彼が居た場所にはメモが残されていた。『ごめん。用ができたから帰る』と。しかし私からしたら疑問が増えるばかりだ。
彼の名前は?
年齢は?
通っている学校は?
そんなことばかり考えていたらすぐに教室に着くことができた。自分の席へと向かい、机の横にカバンをかける。ふと教室にある時計を見ると、いつもより時間が10分ほどはやかった。そういえば、いつもは怯えてばかりで足が震えたから学校に来るのが遅かったな、なんて考える。と、その時、
「田辺さん、おはよう」
と上から、声がかけられた。体が硬直してしまう。うまく呼吸ができない。動かない唇を何とか持ち上げて、声を絞り出す。
「ぉ、ぉ…はよ…」
なんとか言葉を出し切ると、相手は私の反応にガッカリしたのだろう。気まずそうな顔をして去っていってしまった。なのに、まだ息がしづらい。こんなにも自分は弱いのかと絶望してしまう。後ろからは先ほど声をかけてきた女の子が友達としゃべっていた。
「えっ、あの子に声かけたの?」
「うん…だって…」
「えー、勇気あるぅ」
そんな声を聞いて、また苦しくなる。
私はどうやったら息苦しくなくなるの?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます