第71話

「―――きゃあッ、!?」






さくらさんの悲鳴が響き渡る。


咄嗟に目をみはって彼女の背後に目を向けると、そこには金髪頭の男が二人居た。




その内の一人がさくらさんの腕を拘束している。


状況を理解しようと必死に脳を働かせている内に、もう一人が俺の背後に回りこっちの両手を背でまとめようとしていて。




女だと思われている事が好転した。


素早く男の手をはたき、さくらさんの腕を掴んでいるほうの奴に拳をねじ込む。





彼女を助けようとしたが故の行動だったのだけれど。


パサリ、と。眼下に落ちた"モノ"を見て一気に身体が冷えていくのが判った。






「……え、え…?」






困惑し、震えた声で俺を見上げるさくらさん。


その目尻には薄らと涙が滲んでいる。


俺の足元には、俺の頭から降ってきた"カツラ"が無残にも広がり落ちていて。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る