第2話 農園

英介は海側から山側へと続く田舎道を、自宅に向かって歩いた。


サッカー部で鍛えただけあって、体力と脚力は抜群だ。


ただ、遂に補欠のままだったが。


それでも英介は諦めなかった。


自宅に着いた英介は、ジャージに着替えると、農園に向った。「喜多農園」だ。


英介の家は農園を経営しており、若い従業員も何人かいる。


「おお、英介。おかえり。」


父がにこやかに言う。日焼けした黒い顔に汗がにじむ。喜多家は代々この地の地頭の一族だ。


「父さん、何手伝おうか?」


英介は父親から指示を貰うと、作業に取り掛かった。野菜の間引きだ。


夕方。作業が終わる


「じゃあ父さん、俺、先にもどるね。」


英介はそう言うと、蛇口で、手と顔を洗い、家に戻った。


英介の姿が消えた後、父親は従業員の一人に声を掛けた。


「なぁ、あれ、調子どうだい?」


すると従業員が言う。


「順調ですよ。社長、見てみますか?」


そう言うと、二人は農園の奥にある、ある栽培品の畑に移動した。


そして、その栽培品を手で優しく触れながら、呟いた。


「うん、この調子なら、たくさん生成出荷できそうだ。」


その栽培品、植物は、ふっくら丸い果実部を持っており、切り込みを入れると、白い乳液が採取できた。


農園は、その乳液を加工・生成して、出荷する。


学名 Papaver somniferum(パパウェル・ソムニフェルム)


ケシだ。

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