第4話 飲みかけのペットボトル

 空気に抵抗しきれなかった飲みかけのペットボトルが、この世の穢に抗議するかのごとく窪んでいる。


 そこに宇宙の流れに逆らわずに高く昇った太陽の職人芸で映し出された、現実なのか疑いたくなるような、鹿爪らしくも甘気だるい世界が映し出されている。


 自分のいる世界はこのペットボトルの中なのかもしれないなと、外側で繰り広げられる過酷な生存競争の透目で生き残ってきた女がひとり、この時空を思慕している春日和。


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