第3話 牡丹のつぼみ

 まだ開くことを頑なに拒否している牡丹の蕾に、季節の境界で迷子になった冷たい雨が降りては落ちる。


 天から降りてきた花たちは、生まれ変わりを繰り返し、本当の姿を忘れてしまったのかもしれない。


 そんな花たちに、天の便りを届けるために、雨粒は降りてくるのかもしれないと、窓に寄生し始めた雨粒を見ながら思う。


 美しく生きる運命の、その身を守る武器を身につけた花たちよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る