即席【大ぼらの里】ついに作品が認められて世界的な作家デビュー!ついでに、宇宙作家同盟にも登録して参加する
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楠本恵士
即席【大ぼらの里】ついに作品が認められて世界的な作家デビュー!ついでに、宇宙作家同盟にも参加する
ある日──オレ、作者『
「ぜひとも先生の作品を、わたしくしたちの出版社でマルチメディア的な作品発行をさせてください」
熱く語る宇宙人の編集者を名乗る、美人宇宙人の言葉がオレの脳ミソにジンジンと響く。
「うおぉぉぉ! 頭が割れる!」
慌てる宇宙人編集者。
「す、すみません! 地球人の脳内レベルが、まだ完全に把握できていないので……類系列なエロザル生物の脳内を参考にして、少し強めの波長で会話を試みましたが……もう少しテレパシーレベルを下げますね。エロザル生物からちょい原猿に近いレベルにと」
オレの頭の中から痛みが消えていく……その代わり人類が樹上生活をしていた頃の記憶が甦る……アポポポ。
金髪の宇宙人が、腹のポケットからインテリア眼鏡をかけ直して言った。
「これで、会話が成立しますね……早速ですが契約書にサインを、先生の作品が書店の棚に平積みされて、インターネットネットでも電子書籍化されって販売されますよ」
「そいつぁ、すごいぜ! うんうん、オレの作品を認めてくれる出版社がついに現れたか……『才能は認められなければ無いのと同じ』それがオレの日頃からの持論だからな……認めてくれるなら、宇宙の出版社でも、魔界の出版社でも何でもいいや」
「では、後世にその名と語り継がれる作品を残すコトになる偉大な楠本先生……この金属粘土に手形を」
宇宙人の担当編集者は、どこかの路上で有名人が足形や手形を残すように、銀色をした金属ドロ粘土をオレの前に差し出して──オレは手形を押す。
「はい、これで契約書完了……先生の死後は魂が地獄に堕ちて、千年ちょいぐらいまで地獄の業火で魂がマシュマロみたいに炎で炙られて焼かれたり、チーズフォンデュされたり、串刺しにされて焼かれたり、油で素揚げされたり、熱湯の中をくぐらされたり……」
「冗談じゃねえぞ! 悪魔の契約書か! オレの性根が腐った魂は、串カツやシャブシャブかバーベキュー用の食材か! どうせ食べるなら新鮮なうちに身体から抜いて食べやがれ!」
宇宙人の女性編集者が、メガネの縁を押さえて言った。
「冗談ですよ……魂なんか取りませんから安心してください」
「本当?」
「その代わり、いつ先生がAI復活してもいいように、魂が宿る心臓を一旦外に出して、特別な高貴なツボに入れて、体に包帯巻いてミイラに……」
「どうせミイラにするなら、日本で乾燥させて即身仏にしてくれ」
「わかりました、その要望は、出版社の方に伝えておきます」
「いつ、オレの作品は書籍化とかなるんだ?」
「もう、書籍化されて書店に並んでいますよ、ネットとかでも配信されています」
「いつの間に……それも宇宙の出版社の未知のムー的なパワーか?」
「はい……一緒に書店に瞬間移動して見てみますか?」
「そんなコトができるのか?」
「はい、宇宙人ですから」
◇◇◇◇◇◇
オレと宇宙人の担当者は、瞬間移動で書店店内に居た。
店内を見回してオレが言った。
「どこにオレの書籍化した作品が?」
「この書店内にある本すべてです……すべての書物に、楠本先生の偉大な作品が上乗せ〝サブリミナル印刷〟で隠されています……とりあえず、そこの絵本をお手に取って開いて中を見てください」
オレは、今人気の絵本を一冊開いてみた。
中身はそのままの絵本だが、頭の中にオレが書いた作品の内容がドンドン入って来た。
「これが、サブリミナル印刷?」
「はい、母親が子供に読み聞かせをしていると、最初は普通に絵本の内容を子供に伝えていますが……段々と楠本先生の小説を子供に読み聞かせするようになります」
「そいつぁ、すごいぜ……映像化とかもされているのか? アニメとか実写とか……コミカライズ化も」
「はい、サブリミナルで……地球のカルチャー文化は、すでに楠本先生なくしては成り立ちません……ニチアサも」
オレは少し小っ恥ずかしくなって、頭を掻く。
「いやぁ、そこまで面と向かって言われると照れるなぁ……はははっ」
◆◆◆◆◆◆
そして、オレの作品の広がりと影響力は留まるコトを知らずに、世界中のカルチャーに広がった。
音楽・映像・絵画・舞台や思想や文化に至るまでオレの作品力が及んでいた。
世界中から紛争、戦争、内戦の類が次々と消滅して飢餓や医療や学習も世界が一つになって、世界が争いがない平和な世界になった。
ただ、相変わらず特殊サギの被害とかホワイト案件の募集とか。
個人的な金銭問題、精神苦痛、暴力、イジメなどの問題は残っていたが……オレは作品を書くだけで、なんでもかんでも解決できる神的な作家のワケではないので……自力で解決できる問題は自分で考えて、レジリエンスと努力で解決してくれ……といった感じだった。
◇◇◇◇◇◇
作品の人気が高まるにつれて、当然のコトながらオレの所に瀑布の滝のように収入が入って来た……それも、国家予算級の金額が毎日。
担当の宇宙人編集者は。
「お金を浮かべた、札束お風呂に浸かれるくらいの収入があって良かったですね」
そう言ってくれたが──オレは手を合わせながら、札束の山に感謝をして言った。
「いやいやいや、どんなにお金があっても必要でない贅沢はしない性格だから……『チャーシュー麺にチャーシュー大盛りトッピングが最高の幸せ』と考えている小市民だから」
宇宙の出版社はオレをセキュリティの面からも守ってくれて、高層マンションのワンフロアを、仕事場兼生活の場として提供してくれた。
「先生、この部屋を見てください」
案内されたマンションフロアの一室に入った途端、オレは軽い
案内された部屋は天井も壁も床も……一面が
眩しさに両目を手で押さえるオレ。
「なんだ、この落ち着かない部屋は! 目がぁ! 目がぁ!」
「お気に召しませんか? 地球人は黄金が好きだと聞いたので」
「こんな落ち着かない部屋で、執筆できるか!」
「それなら部屋の内装を変化させましょう……ポチッとな」
宇宙人の担当者が壁のボタンを押すと、白い部屋に変わった。
「このボタンを押すと、お好みの色彩、お好みの風景に部屋の内装が変化しますよ……チョモランマの山頂で執筆している気分も味わえます」
「いいね、いいね、部屋に居ながら気分転換できるのか」
「楠本先生がご希望なら、先生が望む企業店舗をこのフロアに出店させますよ、牛丼店でもカレー店でもラーメン店でも、コンビニや百均店でもお望み通りに──楠本先生ひとりだけのために」
「いいね、いいね、自分は某衣料店や、某量販店の本社がある県には感謝して、足を向けて眠れない人種だから……群馬と埼玉と山梨には、その県に本社がある企業の出店を頼む」
◆◆◆◆◆◆
その後もオレの執筆人生は上り調子で、銀河系の作家同盟に登録参加した頃──世界の政治家連中や、財界の大物連中がオレに近づいてきて、金銭をねだったり。
政策の相談をするようになった。
「ぜひとも、政策に楠本先生のご提案を……それと、党への政治献金を」
日本国の今後の政策助言を聞かれた時は、パソコンとタブレットとスマートフォンで同時執筆をしながら、オレは適当にアドバイスをした。
「政治家が、意味の無いプライドを捨てて、こうすりゃいいんじゃねえ」
オレのアドバイス通りの政策を打ち出して、国会内外からの反発も多少はあったようだが……それも想定内、世の中、全員がイエスマンばかりじゃ面白くない。
川を流れる石はぶつかり合って丸くなり、また亀裂で角が生まれて丸くなって最後に砂になる。
おぉ、また格言っぽいコトを言っちまったぜ。
裏金に繋がるような金銭の流れは断固断った、なんと言われようが。
『金の貸し借りは親子でも他人』が、オレの信条だから……世の中、金銭と色恋事に関わるとロクなコトはねぇ。
「自分が納得しない、くだらねぇ金はビタ一文出さないよ……頭使ってレアメタルでも採掘しな……クリーンエネルギー関係になら投資しても、いいけれどな」
さらにオレの作家人気にあやかろうと……神社・仏閣・教会・観光関係の人間たちまでもが、クロアリのように次から次へとやって来て。
「楠本先生のお姿を模写した像を作らせていただいて、拝礼や参拝や観光の対象に」
と、ほざきやがった。
やなこった、自分の姿が銅像になるなんて考えただけで、ゾッとする偶像崇拝禁止。
例外で芸術的に誇張したオレの裸体筋肉像を制作して、美術品として美術館にダビデ像みたいに展示するコトは、考えただけでゾクッとナルキスト的な快感が走るので承諾して。
自分の作品キャラの像をストリートに配置した妖怪通りならぬ〝楠本通り〟を作ることは承諾した。
「自分の考えたキャラの銅像に観光客が、スマホのレンズを向けている光景なんざ想像しただけで面白いじゃないか」
オレの作品は銀河系中にも広がり、何百年も終結が見えなかった星間戦争が、地球の紛争や戦争の時と同じようにピタッと終わった。
「自分の作品を読んだり見た人が、何らかの形でも楽しでもらえる、クリエイティブな活動をしたい、そして自分も楽しむ……それが、願いの一つ」
エイプリルフールからはじまった、楠本 恵士の夢はまだ終わらない。
楠本 恵士は
【大ぼらの里】エイプリルフール
即席【大ぼらの里】ついに作品が認められて世界的な作家デビュー!ついでに、宇宙作家同盟にも登録して参加する 楠本恵士 @67853-_-
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