第33話
「藍佑はすごく恵まれているから周りの人は仲良くしてくれるけど、みんな心のどこかでは“喋れない男の子”って位置付けされてるんだ。たぶんそれを本人も分かってる」
だけどウタちゃんは違うでしょ?
お兄さんに見つめられて心臓がはねた。いろんなことを見透かされてしまった気持ちになってやっぱりわたしはどうしようもない気持ちになる。
花園家の人は、わたしのことをどうしようもなくどうしようもない気持ちにさせるのが好きみたいだ。
ふぅ、と気付かれないように息を吐いたけれどたぶん気付かれてしまって視線を泳がせた、隣の人が飲んでるピンクのやつ、美味しそう。
他のことを考えれば、ふっと優しげに笑われる。どきどきした。
「俺だけじゃなくて、両親も、藍佑もウタちゃんに感謝してる」
「そんな、」
「ウタちゃんにとっては普通の、いつもの日常と変わらないかもしれないけど世間知らずな弟にとっては毎日が輝いてるんだよ」
そうなのかな、と思った。少しも考えずに、たしかに、と納得する。
アイは世の中を知らなさ過ぎた。わたしが全部教えてあげたの、わたしが。
藍佑の輝く瞳が見たくて、楽しそうな表情が見たくて普通の、すごく平凡な日常を教えてあげた。そうしたらわたしにとって普通のことだったはずなのに、アイが隣にいることで輝いたの。たぶんそれはアイにも言えることなんだ。
だってアイはわたしのことが死ぬほど好きだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます