第27話
“じゃあタダでウタの人生を俺に頂戴”
スラスラと書かれる文字。
いつもより乱暴だ、だけど男の子にしては綺麗な文字。“頂戴”って漢字で書けるアイはやっぱりアイは頭が良い。
「わたし、そんなに安いオンナじゃないの」
いつか言ってみたかったセリフをこんなにも早く言えるなんて思ってなかった。まさか藍佑相手に言うなんて思ってなかったよ。
上目遣いに睨んでみると、なぜかほわりとした顔をして楽しそうにわたしを見ているアイが見えた。
アイを睨んだのだからアイが見えるのは当たり前だけど、なぜそんなに柔らかい顔をしているのかわたしには理解出来ない。
「……帰る」
理解の出来ない視線に耐え切れなくなって、小さく呟いた。帰ると言っても体はアイに向けたまま、足が重たくて動かない。
ギリギリまでって、どこ?
さっき答えが出たはずなのにまたわたしは答えを探し求める。頭の中をグルグルと何かが回ってる、なにこれ、気持ち悪い。
“送って行こうか?”
玄関の前の会話だけでA4のノート一枚が埋めつくされようとしていた。
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