第25話
アイが大きな門を開けた。門の横にあるボタンを操作して自動で開くしくみらしい。
へぇ、近くで見るとやっぱり大きい。
“花園”という表札。大きな駐車スペースにはイカした高級車が一台、その横にあるスペースはきっともう一台の車の分だろう。多分アイのお父様が乗って行ったんだ。
表に自転車を止めて玄関のトビラまで来た。
そうか、これが“ギリギリ”というやつだ。きっとわたしが思うギリギリまで、だ。
「アイ、楽しかった?」
“うん”
笑顔で頷く、可愛い。
脳内で勝手に、わたしの想像する花園藍佑の声が再生された。
「次からは、自転車家に置いてくるね」
“……?”
きょとん、とするアイ。
それもそうだ、だって、わたしも驚いてる。何言ってんのわたし、次の約束なんかしようとしてる。
「えっと、」
目を泳がせて次の言葉を必死に探した。心臓がだんだんと激しく動き始めるのが分かる。心臓から送り出された血液がまた心臓へと戻ってくる、一体わたしの血液は血管内を何周したんだろう。
アイがA4のノートに何か書いている、それを待つ時間がもどかしかった。
そのノートを奪ってやりたい、だけど何も言わずに待つ時間が好きだったりする。結局わたしは、藍佑といるのが心地良くて、イライラする。
ああ、まとめ切れないこの気持ちが邪魔、だけど大切にしたい。
ノートから顔を上げて、わたしを見つめた。その顔は笑ってる。
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