第23話
「行こう」
立ち止まっていた足を動かした。わたしが歩き始めると悔しそうな顔をしていたアイも歩き始める。
ねえ、藍佑、気付いてる?
わたしが何も喋らなかったら、二人の間に会話が無くなっちゃうの。寂しいね。悲しいね。
さっきまでアイに対して怒っていたのに急に寂しくなる。意地悪言ってゴメン。分かってるのにゴメン。
だめだ、わたし、アイといるとどうしてもだめになる。優しくなれなくなる。
自転車のチェーンの音、二人分の足音。車の音、風の音、鳥の鳴き声、人の話し声、全部聞こえる。なのに、藍佑の声だけがわたしには聞こえない。
そうだ、もしかしたらわたしだけ聞こえてないのかもしれない。本当はみんなアイの声が聞こえてるの、だけどわたしだけ何故か聞こえない。
アイはちゃんと喋ることが出来て、文字じゃなくて言葉でコミュニケーションが取れる男の子だ。
「っ」
そう考えて、やめた。もっと悲しくなったから。どうしたって、どうなったって、どうしても。アイの声は出ないんだ。
こんなに胸が苦しくなるのは、心臓が止まってしまいそうになるのはアイのことが好きだからなのだろうか。
バレないように隣に視線を向けた。だけど気付かれた。
笑ってるのか困っているのか嬉しいのか泣いているのか分からない顔で、微笑まれる。
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