第11話

学校からアイの家までは徒歩15分ほどで、そこからさらに15分ほど歩いたところにわたしの家がある。藍佑お坊ちゃまの家は、わたしがいつも自転車で通っていた大通から少しだけ外れた高級住宅街だ。


わたしとアイの家は、町は違うけれど区は一緒だ。だからアイの家の病院のことは小さい頃から知っていたし、小さい頃にひいおじいちゃんのお見舞いに1度だけ行った記憶がある。


花園総合病院は、きっとわたしが想像する以上に力を持っているんだろうなぁ。そんな大病院の息子の藍佑と手を繋いで歩いているわたしは一体、何なんだろう。


友達、よりもきっともっと深くて、深いからその先は真っ暗で何も見えない。




待って、というようにアイに引き止められた。


こんなふうに引き止められるのはこれで何回目だろうって考える。考えてもどうせ分からないのにわたしはいつも同じことを考える。


高級住宅街にある大きな家の、玄関の前。


今日も無事に藍佑を家まで送り届けて、じゃあね、と繋いでいた手を離して踵を返そうとすると、ぐっと腕を掴まれた。


色っぽく、熱っぽくわたしを見つめるアイの瞳。


好き、ただそれだけの感情が数え切れないくらいたくさん溢れてきている。それをわたしはわざわざ両手で掬ってあげたりはしないよ。

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