第9話
わたしと一緒に帰って大丈夫なの、と聞いたことがある。
“ウタが可愛いから大丈夫だよ”
ヘラリと笑ってノートの文字を見せてきたアイ。
そんなわけの分からない理由、嘘だって分かるんだけど。アイを睨みつければ、おかしそうに笑った。
あのね、アイ。アイは知らないと思うけど、わたし、本当の理由を知ってるんだよ。
「君と一緒にいることが、藍佑の喋るキッカケになればいいと思ってる。世間知らずな弟に、たくさん楽しいことを教えてあげてくれないかな。俺も両親も、いいキッカケになればいいと思ってるんだ」
いつか、アイのお兄さんがわたしの家までわざわざ挨拶に来てくれたことがある。
可愛い弟の為に、ただの女子高生に向かって頭を下げた。
声が出なくなって辛い思いをしているのは、アイだけじゃない。藍佑のことを大事に思っている両親もお兄さんも、また声が聞けるようになることを望んでいるんだ。
「アイのこと、ちゃんと送り届けますから安心してください。危ないことはしませんから、アイに楽しいことをたくさん教えてあげます。だから安心してください」
大嫌いなアイ。
だけどわたしから出た言葉は本心だ。
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