第3話
「なあ、その制服って……お前、聖女の生徒なのか?」
と、正面の男が聞いてくる。
私が着ているのはグレーのジャンパースカートとボレロ。
その下には白い丸襟のブラウス。
確かに聖華女子高校、通称“聖女”の制服だ。
レトロな雰囲気のこの制服ってそんなに有名だったの?
「それがどうかした?」
逃げ出したい気持ちを隠して、言葉に力を込めた。
「聖女のお嬢様がこんなとこで何してんだ?」
「何でもいいでしょ。それに、私はお嬢様じゃないからっ」
お嬢様学校と言われる聖女だけど、全員がそうとは限らない。
中等部から聖女に通っていても、小学校は公立だった私は周りになかなか馴染めなかったし、今では正真正銘、お嬢様なんかじゃない。
「ふっ、お前の名前は?」
鼻で笑われた……。
「知らない人には教えられませんっ」
何かあれば手の中の防犯ブザーを鳴らそうと、強気で答えると、
「お前、聞かれた事に答えろよ!」
隣にいた黒髪の男に肩を小突かれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます