第3話

そこに、彼女を迎えに来たらしい制服姿の男の子が現れて、二人手を繋いで駆け出した。


さっき遠目で見えた光景が頭に浮かぶ。


芝生にしゃがみ込んで、キスを交わす二人。


天使の笑顔の彼女には似合わない。


違和感しかないキスシーンに胸がざわつく。


クローバーを手にボンヤリしていると、

「加賀美、お待たせ」

友人の佐倉がやって来た。


同じ経済学部の同級生として知り合ったが、大学では一緒に行動する事が多い。


人当たりが良くて、男女問わず友人の多い男なのに、愛想の一つもない俺にやたらと懐いてくる。


「ああ、佐倉、やっと来たか」


「ん?四つ葉のクローバー?」


「……今、天使みたいな子から貰った」


「天使?天使みたいな子って、どんな子だよ?」

 

佐倉が腹を抱えて笑っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る