第8話

【愛してる】


【付き合おう】



そんな言葉を宗悟くんに言われたことは一度も無かった。それでも私は幼い頃から彼のことが大好きだったので、、




『宗くんのことが好き』


『ずっと一緒にいたい』



隠すことなくその思いを彼に伝え続けた。




──…その度に彼は、



『…知ってる。』


『柊奈が俺以外を好きになるなんて許さない』



そう言っては満足そうに笑った。




その結果…歳を重ねるごとに、増していく私の恋愛感情をただ受け止め続けてくれた彼は、、何も言葉をくれない代わりに手を繋いで寝てくれた。



寂しいと言えば抱きしめてくれたし、帰りたくないと言えばキスをしてくれるようになった。




『柊奈のゼンブ、俺が貰ってもいい?』




その言葉の意味が分からないほど、子どもじゃなくなった頃…彼はとても優しく私を抱いてくれた。手を繋いだのも、キスもハグも…何もかも。




私のハジメテは全て宗悟くんで……


それはきっと”最後”でもあると思っていた。




最初で最後の人。これから先もずっと…私に触れることが出来るのは宗悟くんだけだって。共に未来を生きることを夢見て、彼の隣を歩き続けてきたのにっ。




あの日、、

忘れもしない、20歳の誕生日の日の夜─…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る