◆side藤
第9話
『ぅ、あ…っ』
「はぁ…あ、っ…」
ソファに押し倒す寸前、反射的に腹をかばうような動きを見せた。
その姿すら俺の知らないものに見えた。
誰よりもよく知っているはずのチャマが…
そう思えば思うほど、頭に血がのぼる気がした。
『ふ、じく…、やだぁ…』
浅い呼吸が何度も繰り返される。
そうだ。もっと俺を呼べ。
チャマの中にいるのは確かに俺の子供かもしれないが、だからこそ余計に正体不明のものに思えて仕方ない。
こいつはそれを守ると、これからずっと育てたいと、そう言った。
―――怖い?混乱している?
わからない。
とにかく今は、チャマを俺だけのものにしておきたい。
『いっ…、た…ぁあ!』
「ふっ…」
優しくなんか出来ない。
いやだ、やめろと悲鳴のような声が上がっていたのも最初のうち。
『あっ…ぃや、ぁ…』
「…こう?」
『はぁ、んっ…!』
「…ふふ」
チャマの悦ぶポイントなんて、俺が一番よく知ってる。
最初はちょっと無理しても大丈夫なんだよね。
だっておまえ、俺にこうやってされるの好きだもんな。
組み敷かれて、閉め切った部屋で汗を浮かべて、藤くん、藤くんと繰り返す。
ほんの少しずつかすれていく声が俺を満たす。
無意識に伸ばされる手と俺の手をからめ合い、キスを落とした。
『……っ』
「…気持ちいい?」
『…っ、く…!』
耐えるような表情のチャマ。
遠慮すんなって。
俺だけでいいじゃん。俺だけ欲しがれよ。
「こっち見ろ」
『え…?』
あごをクイッと持ち上げ、赤い唇をついばんだ。
舌を割り、首筋まで追いかける。
「俺のことだけ考えて」
『…ぁ…』
好きだよ。大好き。
俺を満たしてくれるのはおまえだ。
―――動きが激しくなる。
『あっ、あぁ…!!』
「はっ…はぁっ…チャマ…!」
『や、ぁ、あぁ!ふじくっ…』
一瞬力が抜けそうになった後、きつい締め付けが暴力的な快感をもたらした。
チャマがイく時の表情は、何度見ても飽きない。むしろもっと見たくなる。
濡れた体に俺の全部を注ぎ込んだ。
涙と汗が溶けて、雨の部屋を彩っていた。
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