第29話

「では経過もいいですし、一応明後日もう一度見て経過が良ければ退院しましょうか。」



湊埼のじじぃがそういうと彼女は困った表情をした。



「あっ…。」



「うん?どうした?」





「私…帰るとこ、ない…。」



その答えに俺は反応した。



「俺のところに来ればいい。」



「えっ?」



思わぬ言葉だったのだろう。彼女が聞き返した。



「だから、俺のところに来い。」



「いいの?だって…。」



「俺がいいって言ってるんだから何も問題はない。お前は俺の目の届くところにいろ。」



結には俺の傍にいて欲しかった。傍にいるだけで幸せだった。



「俺はお前に家に来て欲しい。家に来て俺の傍にいて欲しい。だめか?」



俺はまっすぐ結を見てそう言った。



「本当にいいの…?きっと後悔する…。私なんか来なければよかったって…。」


結は不安そうにそう聞くが、そんなのあり得るわけがない。



なぜなら、俺は結が好きだから。結はこの世界でただ1人の俺の”唯一”だから。

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