第30話

「するわけないだろ。俺はお前が好きなんだ。一緒にいて欲しいんだ。」



俺はまっすぐそう伝えた。



「もし、もしも奏がいいなら私、奏のところに行きたい。奏の傍にいてみたい。」



彼女が初めて自分の願いを言葉にしてくれた瞬間だった。



「よし。決まりだな。」



「そういうことだ。じじぃ。」



「まだ、じじぃ呼ばわりはされたくありませんが。わかりました。では私はこれで。また夜、回診に参ります。」



「わかった。あ、外の奴らを呼んでくれ。」



外には俺の腹心の部下が4人控えている。これから俺と一緒にいるなら紹介しておくべきだろう。



「わかりました。それでは。」



そういうと湊埼のじじぃは病室をあとにした。



「外にも誰かいるの?」



結がそう聞いた。



「あぁ。これから俺の傍にいるなら紹介しなくちゃな。俺の部下たちだ。全員いい奴らだから心配するな。」



そう答えると、扉をノックする音が聞こえた。



「若、失礼いたします。」



「入れ。」



その言葉に続き、数人の男の人が病室に入ってくる。

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