第4話

「奏様聞いてもよろしいですか?そちらの女性は一体…。」



「おれの”唯一”だ。」



そう俺が言い放つと、遥人の顔はますます驚きの表情へと変わっていった。



「”唯一”ですか…?その方が奏様の…。」



「あぁ。初めてだ、俺が誰かに”愛”という感情を感じたのも”守りたい”と思ったのも。」



「そうですか…。それはめでたいことですね。ついにあなたにも”唯一”が見つかったとは。帰ったら組長と姐様にご報告しなければ。」



「そうだな。」



「しかし、その方…。」



その言葉に続いて遥人の顔が変わった。



「あぁ。わかってる。銃に撃たれたというだけじゃない。この無数の痣や、真冬にノースリーブのワンピース一枚。靴も履かず雪の上を歩いていたなんて。どう考えても訳ありだ。」

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