第9話
「立原っていうんだけど、今度紹介するよ」
「いや、いい」
俺は、即答した。
あんな面倒そうな女と関わるのなんて、まっぴらだ。
が。
「いやいや。そのうち、機会があったら」
そう言って、おかしそうに笑う加瀬の表情を見て、俺はギョッとした。
まさか。
もしかして……こいつ、あんな女に気でもあるのか?
何考えてんだ?
加瀬なら、女なんて、いくらでも選べるだろうに。
よりによって、アレかよ?
「これ、かけるよ」
話題をそらせたくて、俺はそのCD‐Rをプレイヤーに入れて、再生した。
「…………」
悪くない。
いや、すごい好みだ。
「……やっぱり、貸りていく」
「あ、そう?」
なんか、加瀬、うれしそうなんだけど。
わかりやすいヤツ。
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