past 1

第8話

「うちのクラスにさ、おもしろい女がいるんだよ」





連休明けくらい、だったかな?




学校帰りに、俺の家に寄ってったとき。




加瀬が、なんだか自慢でもするように、言ってきた。




「おもしろい女?」




なんとなく、わかった。




あの女しか、いないだろ?




「見ろよ、これ」




加瀬が差し出した、CD-R。




裏面には、細かい丁寧な字で、曲目やら、アーティスト名やら。




おまけに、67とか72とか、2ケタの数字まで、きっちりと並んでる。




ふうん。




自分の好きな曲を、加瀬用に編集してやったってわけだ。





…………。





それにしても。




「何だ?この数字は」




「ああ、それ」




加瀬が笑う。




「その曲が入ってるアルバムが、発売された年だってよ」




「へえ。それはそれは」




そんなの、自分の他に、知りたがってる人間がいると思うのか。




さすが、オタク。

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