第6話
「本当は手繋いで俺のコートポケットに入れて温めてやりてえけどな。絶対拒否するだろお前」
想像してるのか可笑しそうに笑う。何でそんな可笑しそうなのか疑問に思うけど言わないでおく。
この男のツボなんて聞いたところで共感できそうにないし。
もう片方の手もマサトラに誘導され、缶コーヒーを包むように持たされる。
じんわりとした熱を感じながらも、私は手の平の中にある缶コーヒーを突き返す。
「いいってば」
「強情。そんな死人みたいな手でいられるとこっちが不快なんだよ」
「あんただって冷たいじゃん」
冷えきった手を顎で差せば、マサトラがにやりと口元を緩める。
「じゃあ2人で握っとくか?」
「ありがたく貰っとくわ」
「おい」
突き返していた缶コーヒーを手元に引きすたすた歩く私に「切り替えはえーよ」口元を緩めたままゆったり追いかけてくるマサトラ。
その長い脚で隣に追いつくと、私の頭に手を置く。
「俺の手とかどうでもいいんだよ。お前を女として特別扱いできるなら」
しれっとした顔で甘い言葉を降らす。
・・・微糖がだめって言ってたけどこの男の口は微糖どころじゃないだろ。
ミルクティー並に甘ったるい。
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