第39話

────────



その後何度もレミさんから電話が来ていたけど、一切出ることはなかった。



心のどこかで、いつか俺は政略結婚をさせられると思い込んでいた。あの親父のことだ。その時は何がなんでも反抗するつもりだった。


改めて結婚なんか無意味だと実感した。



どこの誰だかわからない令嬢と、会社の利益の為に人生の墓場なんて、死ぬのと何ら変わらない。



拘束されることが何より苦痛な俺にとって、結婚は必要のないもの。価値がない。むしろなぜするのか一つも理解できない。


結婚したところで、親父だろうが女だろうが不倫する。元から結婚なんかしなけりゃ、『不倫』にはならなかったのに。



俺の頭の中で、『結婚』という文字は死んでいる。結婚するくらいなら、神田家と容易く縁を切るだろう。



今だって、赤の他人ほどの距離があるんだから。



俺の自由は、誰にだって邪魔させない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る