第38話

「龍成ってただのクズじゃなかったんだ」


「失礼だな」


「いや、実は誠実みたいなふりをして、面倒なことにならないようにしただけか」


「意外と賢いんだな」


「やっぱクズ!超絶クズ!」


「で、どっちにする?」


「ホテル!なんか家はヤダ!」


「でも行くんだな」


「クズでも好き!!」


「可愛いやつだな」


「ギャーっ!顔が!イケメンがすぎるーっ!!わたしのばかーっ!!」





──こういう軽い女はその場で遊ぶにはうってつけで、女もそんな相手を求めているのだろうと、都合良く思っていた。



出会う女はそういった系統ばかり。たまに堅苦しそうなタイプの女の時もあるけれど、話していくうちに楽しい時間だけでなく金銭まで、自ら差し出してくれるようになる。


お礼と言わんばかりに、その場でだけは、俺なりに尽くしていた。



親父とは違う。俺は、出会う女一人一人を幸せにしている。



その方法は間違っているとしても、たった一人の女を幸せに出来なかった親父とは、俺は、絶対に違う。



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