第40話

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『今すぐ帰って来なさい。大事な話があるの』


「なんだよいきなり。今すぐは無理だな。取り込み中…」


「んもう、電話なんて出ないでよぉ。早く脱がせて?」


『─っ、早く来なさい!!至急よ!』


「あ~わかったわかった。終わったらすぐ…」


『龍成!!!』


「はいはい…って切れてるし」


「もう、こっち向いて?どこにも行かせないよ?今日はナコだけなんだからね」


「当たり前だろ」





麻友ちゃんに怒鳴られ電話を切られても、俺が優先するのは目の前にいるお姫様。



「大事な話がある」なんて勿体ぶった言い方しやがって、本当に至急なら電話で内容を話すはずだろ?



だから俺は、この時間を存分に楽しむ。



ただの何も持たない俺を求められることで、生きていると実感して、履き違えた自由なんかで、満足したふりをしながら。


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