第20話
──母さんが来て、強く抱きしめられているうちに、その人はタンカーで運ばれていった。
詳しくはわからないけれど、病院で意識を取り戻した後、数日して亡くなったらしい。
お通夜で見た写真の中のその人は、別人と思えるほど綺麗だった。
お焼香だけして帰ろうと、母さんに手を引かれその場を去ろうとした時、
「よく来れたものだわ。娘がいなくなって、あなたはさぞかし喜ばしいでしょうね」
そう言って俺たちの前に立ちはだかった、見知らぬおばさん。
険悪な空気を、子どもながらに痛いほど感知する。
「…この度はご愁傷様でした。お悔やみ申し上げます」
「心にもないことを…!あの男じゃなくあなたが来るなんてね。本当に娘が浮かばれないわ」
「…それでは失礼致します」
「─っ!あなたがどう足掻こうと、龍成は娘の子よ!あなたが何度生まれ変わっても、どれほど必死に母親の真似事をしても、本物の母親になれることは絶対にない!!」
「龍成、行きましょう」
「地獄を見るといいわ!!」
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