第19話

「だったら病院に行くのも協力してくれないかな?!」


「もう遠くに行っちゃったから無理だよ」


「そんな…!じゃあ俺の手と足、自由にしてよ!病院まで俺が連れてくから!救急車よりその方が…!」


「龍成…。優しくて素直な子に育ったんだね。わたしが育てなくて良かった。ごめんね、お父さんとお母さんのことを悪く言って。でもこれが本当だから。どんなに綺麗事を聞かされても、わたしが話したことが事実だからね」


「…すごい汗だよ!無理して話さなくていいよ!」


「龍成には本当のことを知っていてほしかった。そしてお父さんのようにならないでほしかった」


「わかった!わかったから!もう話さないで!顔色が…」


「会社の為に生きないで。お金の為に生きないで。あなたの人生はあなたのもの。あなたの自由を奪う権利は誰にもないのよ」


「誰か…!電話…」


「絶対に幸せになって。お願い。お願い…」


「───。」



「龍成!!!」

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