第18話

今にも泣き出しそうなか細い声で、髪を掻きむしりながら発したその言葉は、俺の中に深く根付いた。





「あんたを捨てたあとはさ、忘れてやる!って寝る間も惜しむくらい、ひたすら馬鹿みたいに遊び呆けてた。だからバチが当たったんだろうね。いきなり苦しくて息ができなくなって、病院に運ばれた時にはもう末期。そしたらね、死ぬってわかった途端、あんたにどうしようもなく会いたくなってさ。自分で捨てた癖にほんと勝手だよね」


「……末期ってなに?死んじゃうの?」


「そう。死んじゃうの」


「いつ?」


「いつかなぁ?もうすぐかなぁ?」


「もうすぐ?!だったら病院!今すぐ病院行かなきゃ!」


「─ふふ。優しいね、龍成」


「救急車!…あ!さっきまでいた人は?!病院連れてってくれないの?!」


「さっきまでいた人?…ああ、あいつはね、関係ない人なの。病院でたまたま知り合って、あんたに会う為に協力してくれただけ」

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