第7話

強く腕を引かれ、大人の手で口を塞がれる。



何が起こったかわからない。




「やっとこの時が……」




その一言だけ耳にして、俺の意識は遠退いていった。





──────





「三億」


「どんだけ強気なんだよ。せいぜい一億だろ」


「何言ってんのよ。あいつら、三億くらい余裕で出すわよ。五億でもいけるわ」


「マジかよ。このガキにそんな価値あんのかよ」


「あるに決まってるでしょ?あの神田の一人息子なんだから」


「それも本当なのか?」


「あんなごつい高級車にお抱え運転手付きで送迎させてる小学生なんて、他にいないでしょ。神田ですって名乗ってるようなもんじゃない」


「はは。確かにな」


「それにあの車は昔神田が気に入って乗ってたやつだしね」


「すげーな。昔って、そんな前から調べてたのか?」


「……まぁね。あんたよりは知ってるわ」

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